ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

マタタビ拾い,リベンジ

 

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 マタタビふたたび,というタイトルを思いついたけど自制しました。この3連休がマタタビを拾う最後のチャンス。なのに1日は本業の仕事,もう1日は家の仕事。もう今日しかないと他の用事を蹴散らして出かけます。結果がおかしなことになった前回(マタタビ拾いに行った八溝の森が何か変だった話 【オカルト注意】 - ジノ。)のリベンジです。

 

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 さてマタタビ。こんな感じで木に絡みつく白い葉を目標に探すわけですが,拾いやすい場所のは8月のうちにイノシシに持っていかれているわけで。さすがにあの猛暑の中森を歩く気にはなれませんでした。ああ,畜生と獲物を争うことになろうとは。そしてこの時期にいい型が残っているのは,イノシシが近づかない場所。人里で,ヤブがひどくてイノシシが入り込めないような。 ……それって,ヒトにとっても大変なヤブでは。


 で残念ながら,ちゃんとそういう場所に心当たりがあるんです。旧十王町,現日立市阿武隈山地の谷あいに。

 

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 ああ,このヤブに突入するのか。長袖長ズボン,蚊取り線香,手袋,帽子。今朝の霧で木も草も枯れ枝もみんな水を滴らせて。

 

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 もうぐちゃぐちゃです。こんな場所でケガすると菌類に感染されるので慎重に。

 

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 道路のすぐわきの斜面なのがイノシシの来ない理由の一つですが,まあポイ捨てだらけ。その間にマタタビのいいのが落ちてます。

 

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 20分ほどでこの通り。なんとかこの冬の分を確保。この醜い虫こぶが,不思議な薬効を発揮してくれます。

 

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 ちなみにこれが正常な実の熟したやつ。


 さて,所期の目的は達しました。人間の本来の生息環境は乾いた平地。ジャングルに暮らす連中だって村は森を切り開いて作ります。こんな湿度100%のヤブの斜面などもう用済み,と脱出にかかろうとしたら,何かが視界の隅に引っ掛かりました。何だ?

 

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     おおこれは。

 

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 冬虫夏草カメムシタケ。視界の端にあってもちゃんと捉えるあたり,まだ眼力は健在でした。この夏2つ目の冬虫夏草。お持ち帰りしようっと。旧記事冬虫夏草いろいろ - ジノ。もご覧くださいね。

 

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 自信をもって言えます。今この瞬間,カメムシタケを持って道を歩いているのは世界で私一人だと。


 どうやら今日は当たりの日です。出歩けばもっといろいろ遭遇できるはず。このまま山中の道を行ってみます。

 

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 ありました,カラハナソウ。これが雌花。ビールに苦みをつけるホップと同じものです。胃腸の薬として探し回ったことがあり,茨城県では阿武隈山地の奥深いあたりの沢沿いにあるのを知りました。今も無事に生育しているようです。これもナチュラリストの宝箱の一つ。

 

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 果実は松ぼっくりのよう。

 

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 岩手の遠野に行ったときに見たホップの栽培風景。畑を水浸しにして育てていました。

 

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 ツリフネソウが盛りです。

 

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 ボタンヅルは実になってました。

 

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 たわわにエゴノキの実。つぶして川に流せば魚が浮きます。やっちゃダメよ。

 

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 クサノオウにしか見えないのだけど,絶対に花期じゃない。クサノオウに似た外来種とか。

 

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 アブラチャンの実もたわわ。油が採れるそうです。

 

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 クサギの実が赤と青のコントラストも鮮やかに,秋の陽に映えています。臭い木なんて名を付けられていますが負けていません。

 

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 廃校になった小学校の跡地に,動かない人がいるなあと思ったら。

 

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 わらのかかしでした。ダマされた。というか本当にデッサンのしっかりしたかかしで,ちゃんと美術の勉強をした人が作ったと確信します。この先の旧里見村で毎年かかしコンテストが行われるのですが,その出展作でしょう。これもまた秋の風物。

 


 茨城の山野にまた実りの秋がやってきます。私も,来月には袋田のリンゴ屋さんに行く予定です。静かで豊かな秋を,また。

 

 

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佐白山というミステリースポット

 

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 秋のミステリーシリーズ第2弾


 身内を連れて水戸内原イオンに買い物に行ったのですが,うまくいきませんでした。時間が余ったのでどうする?となった時,その身内が笠間の佐白山に行こうと言い出しました。私はというと先週八溝山であんなことがあったし,と心があとずさり。結局若いツレの主張に負けて,愛車ジュークターボを西に巡らせました。


 笠間は周囲を山に囲まれた小さな町です。笠間稲荷が町の中心にあり,その周りの商店街はおそらく茨城の観光地で一番観光地らしい商店街。いつも賑やかで,土産物,稲荷寿司,饅頭,蕎麦。いっぱしの観光地気分が味わえます。茨城県で最後まで芸者さんがいた町だともいうし,最近はお洒落なカフェ,かき氷屋,焼き鳥屋などの有名な店も現れて,笠間に行く,というのはちょっと心が浮き立つものです。でも佐白山は別。


 試しに「佐白山,ミステリー」とかで検索してみてください。ブログからU-Tubeまで,大変なことになるから。おそらく茨城で一番有名なミステリースポットです。


 何がというのは他のブログにお任せして,佐白山そのものの説明をします。


 佐白山は笠間の町を取り囲む山の一つで,標高は206メートル。古くから何かのあった場所で,平安時代には山全体に百坊を数える寺院が建てられ,僧兵がひしめいていました。鎌倉時代には城が建ち武将が治めたのですがいずれの家も短いサイクルで滅びあるいは改易され,明治維新とともに城は打ち壊されました。それでも笠間市民には憩いの場で,山上には茶店もあってそこまで車で行ける道も整備され,町から地続きの観光スポットでした。


 ところが。


 ネットの時代になって,ここが物の怪の出現するミステリースポットであるという噂がまことしやかに喧伝されるようになって状況が一変しました。山を一周して最後に隧道(トンネル)をくぐって山上に出るというケレン味たっぷりの車道はよく考えられたものでしたが,最後のトンネルがアダになりました。夜中にこの中で車を停めてクラクションを3回鳴らすと怪異が現れるといういかにもな話に惹かれ,関東中からヒマな奴らが夜中に集まるようになります。一晩中響くクラクションに周辺住民はこれはたまらんと,車道が閉鎖されてしまいました。今の世は車がすべて。車で行けないとなると急速に人の足が遠のきます。トンネルのほかに「古井戸」「古池」と三種の神器も整備(!)され,以後の佐白山はホラー好きが訪れるほかは地元の高校生が肝試しにやってくる程度の,寂れた山になってしまいました。


 今日の若いツレも,一度この茨城一のミステリースポットを訪れてみたいとのこと。仕方ない,付き合いましょう。

 

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 国土地理院地形図改作。10分で作ったんで雑。青い線が一周道路,赤矢印が一方通行の方向。小さい図で申し訳ないけど,ぐるりと一周して隧道(トンネル)をくぐるの,わかります? 今は通る人とてなく荒れ放題で,来訪者は「千人溜駐車場」から歩きます。

 

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 私は森の専門家です。その私から見ても,確かにここの森は一種異様な迫力があります。スダジイの茂る照葉樹林ですが,禍々しいとは言わないまでも,絶対に夜には来たくない森です。

  

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 こんな「うろ」のくくれたスダジイなんて,ちょっとよそでは見られない。

 

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 いきなりですが,隧道。荒れた道の先に口を開けてます。出口が見えるほどの短いトンネルなのですが,先入観もあって不気味。中に入る気にはなれません。

 

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 これもミステリースポットの,古井戸。というか,塞がれてます。間違いなく十年前はちゃんと井戸があって,屋根が付けられていました。これもイタズラ防止のためだと思います。つくづく罪が重いなあ,ヒマな人々。


 でもやはり変なことが。私が撮った写真はご覧のように問題ないのですが,ツレがスマホで撮った写真は下半分がザーッと乱れ,肝心の井戸が写りませんでした。おいおい。

 

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 急斜面に道が付けられたので,こんなループまであります。これも来た人を楽しませる仕掛けだったのでしょう。

 

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 山頂直下の,かつて茶店と駐車場のあった場所。昔を知る者には悲哀感が胸に迫る荒れ具合です。あの,家族連れの笑顔に満ちた明るい空間はいずこに。

 

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 笠間城。立派な山城です。

 

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 天守閣への石段。ツレの写真はここでも乱れました。おいおいおい。

 

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 石垣も石段も崩れかけてます。「佐志能神社」が祀られているのですが,なんか神さまが気の毒になってきました。

 

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 神社の先は鎖を頼って下りていき見晴らしのいい石倉に出るのですが,今日はやめときます。多分,日が悪い。

 

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 途中にも絶景。いい山なんですが。

 

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 案内板も倒れてキノコに食われてました。

 

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 隧道の反対側。やっぱり入る気にはなれません。

 

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 いつも言ってますが,神仏は祀られ敬われてこその神仏です。御岩神社や大洗磯前神社の神さまは誇らしげに鎮座しておられますが,人々から理不尽に恐れられ避けられ,何だかここの神さまは荒んでおられるようにお見受けしました。無責任な噂に翻弄されるのは,人間だけではないんです。

 

 

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収穫。スイカとかクサボケとか。

 

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 去年の,うちのイカ。家族みんなで大爆笑。ろくに世話なんかしないもので,まあこんなものよと。

 

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 ところが今年の酷暑はトマトやスイカのような乾燥地生まれの作物には吉と出たようで,大豊作になりました。どちらもお金出して買わずに済みました。

 

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 クサボケも今年はハズレ年と覚悟していたのに思いのほかの大収穫。

 

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 106個ありました。今年も薬酒「シドミ酒」が作れます(クサボケの薬酒 - ジノ。参照)。


 なんだまた庭自慢かと言わないでくださいね。前にも言ったように,こんな暮らしをずっと夢見ていたんです。

 

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 冬にはキンカンもたくさん収穫できそうです。ただ水戸の気候はキンカン栽培には限界のようで,実が完熟する前に寒さでやられてしまうこともままあります。酷暑だった後の冬は寒さも厳しかったりするので注意せねば。ちなみにキンカンの砂糖煮,大好物です。

 

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 キンカンの花。あたりに芳香が漂います。実が付き始めたら花は摘んだほうがいいと聞きました。次の週末にでも……ああ,仕事だ。

 

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 ウメモドキがみるみる色づきました。急に気温が下がったこともあるし,今年の秋の山は色鮮やかであることでしょう。

 

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 2018年の夏は,死ぬほどの暑さと甘く濃厚なスイカの味で長く記憶に残ることになると思います。

 

 

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マタタビ拾いに行った八溝の森が何か変だった話 【オカルト注意】

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 今回はかなりオカルトです。苦手な方はどうぞご退出ください。旧作(マタタビ酒の作り方 - ジノ。)の続編を書くつもりだったのですが。

 

 


 今年分のマタタビを拾いに行かなくては,と思いつつ今年も出遅れて,水戸近郊では型の良いのはみんなイノシシに食べられてしまいました。ううむ。


 大震災以来イノシシが増えているとは聞きますが,マタタビが採取しづらくなった気がします。


 まだマタタビがありそうな場所,と考えて思いついた場所がありました。


 もう十年以上前,ふらふらと分け入った八溝山の沢の一つで,木々に覆われた広く平坦な河原を見つけました。静謐な,美しい森でした。林床にウスバサイシンが群落をつくり,大きく型のいいマタタビがこれでもかとばかりに落ちていました。まるで「遠野物語」のマヨイガのような,森を歩き回る私のような者へのご褒美のような森でした。ナチュラリストのとっときの場所。あの森に行ってみよう。


 沢沿いの林道を詰めていけば行けた記憶です。ここらへん,と地図であたりを付けて出発。

 

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 ここだ! 細い記憶の糸をたどって,どうやら目的の林道に到達です。

 

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 天気予報では晴れのはずなのに,雨模様。林内が妙に暗いので前照灯を付けて分け入ります。なんかいやな予感がします。


 途中にいくつか山作業の現場があったのですが,気になる看板が。「この先通行止め ○○には抜けられません」 その通りに,ある現場を過ぎたところで道のわだちがなくなりました。この先,道が荒れている可能性があります。車は捨てていきましょう。歩いていって,30分経って着かなかったら引き返すことにします。今日はそれ以上はよくないような気がする。

 

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 それにしても,ただならぬ予兆。何より,原発事故以来ひとが山に入らなくなり,けものが増えていると聞きます。茨城県にいないはずのクマの目撃報告まであります。虫の知らせとでも言いますか,いつもは置いていく山刀を腰に差して歩き始めました。

 

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 そんな高山でもないのに霧が漂います。雨に濡れた草を踏むと,濃密な生命の気が立ち上ります。

 

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 驚いた。本当に動物に遭遇してしまいました。前方の林道に飛び出した四つ足の下半身が。おそらく顔は草むらにあってこちらを見ているのでしょう。でも瞬時の私の眼には動物の下半身だけが林道にぽつんと浮かんで見えました。思わずあとずさりしたのですが,向こうもすぐにやぶの中を駆けていきました。黒い毛皮に短い尻尾,たぶん猟犬がはぐれてそのまま野生化したものだろうと思います。カメラは間に合いませんでした。


 今度は動物の予兆。いやな予感は高まるばかりですが,とにかく30分探してみようと歩を進めます。いよいよ霧が濃くなります。さっきの奴が後を付けてこないことを時々確認しながら,山刀を握りしめながら。


 そろそろ30分,というところで,前方で何かが動いているのに気づきました。道の先にある木の高さ3メートルくらいのところで,何かがぶんぶんと振るように,あるいは回転するように間断なく動いています。まるで必死に手を振るように。


 背筋を冷たいものが走り抜けます。たぶん私の顔色は青ざめていたことでしょう。なるべく冷静にカメラを取り出し,その動くものを動画撮影しました。

 

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 意を決して近づくと,ぴたりと動きが止みました。もう,動いていたものが何だかわかりません。家で動画を見たところ,どうやらその木の葉の付いたひと枝だけが動いていたようです。 無風なのに。雨と霧の中,写っている視界内でそれだけが狂ったように動いてました。


 もう潮時です。どうやらその木の向こうがくだんの森らしいのですが,行ったところでのんびりマタタビなんか拾っている状況ではありません。何より背筋の寒気が収まりません。


 踵を返して林道を戻ります。山刀の柄を握りしめたまま。


 このまま変なモノを連れ帰ってしまうのかなあ,なんて考えていたのですが,不思議なことにさっきの獣に遭遇した地点を過ぎると寒気はすっと消えました。

 

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 ようやくここに。今日ほど愛車が頼もしく見えたことはありません。こうして無事に家に帰り着いたわけで,どうやらあとを引くモノは付いてこなかったようです。


 あの林道はいったい何だったんだろう。思うのですが,林道が行き止まりになったことでヒトの往来が途絶えた。するとたちまち,森は「山のもの」の領分になってしまったのではないでしょうか。そこに侵入しようとする私に,まずは獣で,次には木で,私に警告を与えてきた,なんて解釈をしておこうかと考えます。

 

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 県庁の展望台から。水戸はウソのように晴れてますが,八溝山方向には湿った雲が。つい2時間前,あの雲の下にいたんだよなあ。

 

 


 若いころ,よく一人で夜の森に入っていました。


 ムササビの写真を撮るために,漆黒の山道を登って行ったことがありました。夜の林道を詰めていって適当な場所でテントを張って寝てみたり,なんてことも。当時流行った「椎名誠と怪しい探検隊」がそういうことをしていて,真似をしてみたのです。真夜中の森というのは決して静かな場所ではなく,テントの中にも歩き回る獣の足音が聞こえてきます。森の奥からギャーと叫ぶ鳥の声も聞こえてきます。でもさほど怖いとは思いませんでした。若かった,というか怖いもの知らずだったわけです。ものが見えてなかった,とも言えます。たとえ木の陰からそっと何かが覗いていても,それに気付いてやれなかったでしょう。今はとても恐ろしくてできません。歳相応に,いろいろなものが見えるようになってしまったから。


 田中康弘さんの「山怪 山人が語る不思議な話」は,日本の森にいる怪異なものどもと山人たちの遭遇記です。中には本当にぞっとする話もあって,あの頃の自分はよく無事に森を出られたものよと思うのです。もうやりません。なにより,本当に出会ってはいけないものに気付いたからです。もちろんそれは妖怪でも宇宙人でもありません。

 

 


 夜の森で,決して出会ってはいけないもの。深夜の森にいるはずのないもの。いてはいけないもの。いたとしたら,それはすでにまともな状態ではないもの。もし出会ってしまったなら,間違いなくそれは寄ってくる。あなたに危害を加えるために。

 

 

 

 そうそれは         人間である。

 

 

 

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御岩神社 タマアジサイと光の柱

 

 

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    また長くなってしまいました。写真54枚。

        おヒマなときにどうぞ。

 右のカテゴリー「御岩神社」で過去の記事も見ていただければなお幸いです。

 

 

 御岩神社に行ってきました。酷暑の夏に山登りする気にならず,すっかりご無沙汰してしまった。神さまに怒られないうちに。雨が降っていますが,カッパで完全武装して。わし晴れ男だしー。

 

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 今日は少し周囲からご紹介します。バス停と駐車場案内。ここ数年で神社と地元の方々が整備なさいました。トイレの心配も不要です。

 

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 バスは1~2時間に1本。テレビ番組のまねごとでやじきた道中をしたいのでなければ,やはり乗用車をお薦めします。休日の混雑時には多少歩くことになりますが。

 

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 地元の方々が道沿いに花壇を。パッと見ただけで十種類以上の草花が雑然と植えてあります。不思議なことに,雑然なのに調和的。こんな美しい花壇はなかなかありません。

 

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 ホウセンカ

 

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 マルバアサガオ。いい色だなあ。

 

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 ソバナ。……って,園芸植物じゃないぞ。まるで山中にあるような見事な咲きっぷり。

 

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 オケラ。なぜこんなものが。好きな野の花の一つです。

 

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 雲が湧いてます。まさに神社のあたり。

 

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 門前町。江戸時代の興隆は過去のものですが,独特の風雅な雰囲気を保ってます。いつでも清潔で花に満ちてます。ここの皆さんは,きっと今でも神さまを敬っておられるのでしょう。

 

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 神社からの水が流れる側溝。実はここが見どころで,特に春の花々が咲き乱れる様子は一見の価値あり。前にご紹介したクリンソウもここが最高。昔はオキナグサなどもあったのですが,今はもう。

 

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 この祠も存在感がありますね。下の側溝のふちに気になるスミレの葉があるのですが,花は次の春のお楽しみにしときます。

 

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 いよいよ神域。

 

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 まだ朝早く,雨雲もあって境内はそこそこ暗いのですが,おかげで灯篭がいい感じ。

 

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         三本杉。

 

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 ここも好きな一角です。

 

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 タマアジサイ。おそらく,元々この沢すじにあったものを上手に残したのでしょう。盛りは過ぎてますが,雨の中アジサイらしい風情を見せてます。

 

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 ミズバショウの沢。すっかり葉も枯れて。地下茎で眠りに就きます。また来春。

 

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 参道のコケの上にツルリンドウが咲いてました。この清楚な花が,晩秋には強烈に存在感を示す紫色の果実になります。

 

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 一面のコケの毛氈もうせんが御岩神社の象徴と思ってますが,そのコケの上にチヂミザサがはびこってました。抜いて差し上げたいけど。

 

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 さてこれも好きな場所。参道の一部なのですが,緑陰の小径と勝手に呼んでます。水気が多いのでしょうか,1年中ふかふかのコケが広がる中に,春先にまずオウレン,続いてショウジョウバカマ,コミヤマスミレ,マムシグサも咲いたりしていつ来てもカメラを向けたくなる場所です。

 

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          コケの中に

 

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          オウレン

 

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        ショウジョウバカマ

 

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 ウバユリも夏に咲いたのですね。実ができてました。

 

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 今年の酷暑に恐れをなしてお参りをサボっていたのですが,こうして見回してみると暑さや乾燥で植物たちがダメージを受けた様子がありません。実はこんな夏でもここは冷たい水が枯れることなく,ひんやりとした神性をかもしていたのでしょうか。しまった,来ておけばよかった。

 

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 石塔の下に,湿地を好むシノブゴケ。

 

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 スギの実生が芽生えてました。育つかな。

 

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 これはコケではなく地衣類という菌(カビ・キノコ)の類なのですが,こんなのも好きなんです,はい。

 

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 お地蔵さま。

 

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 お地蔵さまわらわら。

 

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 姥神様。たしか立山信仰にも同じような神さまがいましたね。

 

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 雨なので山頂には登らないでおこうと思っていたのですが,雨が上がって明るくなってきました。登っちゃおうかな。

 

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 参道はタマアジサイの道でした。

 

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 タマの名の由来はこのつぼみ。

 

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 パチーンとはじけて

 

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 周辺に装飾花,中に両性花を配したガクアジサイと似た花(花序)を咲かせます。ちなみにガクアジサイを品種改良してがく片(花びらみたいやつ)のある装飾花だけにしたのがアジサイです。

 

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 両性花。ちゃんと実を結びます。ヒトに作られた装飾花だけのアジサイはただ咲くだけで実を付けない。ヒトもひどいことをするものです。

 

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 雨に濡れたアジサイの道。

 

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    ガクアジサイが途切れると……

 

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   賀毗禮かびれ神宮。

 

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 山頂。どうやら雨雲は切れました。

 

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 「光の柱」。驚いたことに,前のレポートでは仮にそう呼んだのですが,今では「光の柱」という呼び名がすっかり定着しているのだとか。その名で,北海道から沖縄,遠くは香港からもこれを見に来た人もいるとのこと。ネットってすごい。

 

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 帰りの参道でツリバナの実を拾いました。

 

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 ツリフネソウ

 

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 思わずあっと声を上げてしましました。いや珍しいものではないのですが,予期していなかったので。ヤマジノホトギス。

 

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 マタタビも落ちてました。神さまのだからここのは拾っちゃいけません。

 

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 なんだ?

 

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 おお。

 

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 すっかり晴れて陽が射しました。見たかこれが晴れ男。

 

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  鳥居下の CAFE SFIATO で,御岩山の水でモカを淹れていただきました。美味しゅうございました。

 

 

 月曜から仕事が忙しくなります。頑張ろう。

 

 

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ヒメスナホリムシと遊びました 【でもグロ注意】

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 太陽きらめく砂浜。水着の若い恋人たちが手を取り合って波打ち際を走っていきます。


 あははは……いやん,まってよお……ほら,おいでったら……


 そのうち足がもつれたフリをして波打ち際に倒れこむ二人。じっと見つめ合ったりして。


 あああっ腹立たしい。こんな字面にするのも不愉快な幸せな二人。この海岸はおのれら二人のもんじゃねえぞ。

 

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 ご安心ください。こんな漫画かアニメの1シーンみたいなラブラブ,神が許したもうはずがありません。打ち寄せる波をかぶる二人に,たちまち異変が起こります。


 ねえちょっと,なんかチクチクしない? 何を言うんだい,君の瞳に比べればあれれ本当になんか痛いな。あ,なんか水着の中に入ってきた。痛い痛い,なにこれなにこれ。ああっ虫だ。ちっちゃい虫がなんかかじりついてるう。ぎええいっぱいいるう。あ,しおりちゃん待ってって痛い痛いい。


 見たか,正義は常に勝つ。これが浜辺のチクチク虫,ヒメスナホリムシであります。いてて,こっちにも来よった。


 節足動物等脚類,わかりやすく言うとダンゴムシの仲間です。深海の人気者オオグソクムシも同類,食性も同じで「屍肉食らい(スカベンジャー)」。夜のストレンジャーならぬハマのスカベンジャー。海岸に打ち寄せられる動物の死体を食べます。


 先日,いつもの生物仲間でこのヒメスナホリムシの観察をしました。

 

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 台風が日本海にいて,まだ荒れてる鹿島灘。びゅんびゅん南風の吹き付ける大竹海水浴場であります。砂が打ち付けて痛いってば。

 

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 こんな日に海に来るのは,台風のさなかに用水路を見に行くレベルのおバカでありましょう。

 

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 そんなおバカの集まり。ちなみにこの夏,近くの浜では4人亡くなりました。

 

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 裸足の人がさっそく身を挺してくれました。カジカジされてます。これがヒメスナホリムシ。海が荒れたので小型個体しかいません。

 

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 もちろんそんなことでは納得できないので,イカの燻製をエサにします。においが拡散すると,深いところからものすごい数が波に乗って集まってきました。ぐちぐちぐち。

 

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 波打ち際にはフジノハナガイという貝もいます。ひとつこの貝を食わせちまえってひどいことを。地獄に落ちるよな我々。でも貝のほうがわかっていて,ムシに食いつかれる前に殻を閉じます。

 

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 そして本日のメインエベント。仲間がこのために用意した,いいあんばいに熟れたイワシを針金に刺して波打ち際に固定いたしますと,いや出るわ出るわワラワラと。たちまちイワシがグズグズと形を変えていきます。

 

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 数分で骨が。実はこの前後,ヒメスナホリムシが集まってきてイワシを骨にしていく様子を動画でも撮っているのですが,このはてなブログに直接動画は貼れないのでまあいいか。気の弱い人にはトラウマになるレベルです。


 ヒメスナホリムシが食べた動物体は,このムシが魚など他の動物のエサになることで食物連鎖に組み込まれ,生物の間を受け渡されていき,最後にはすべて二酸化炭素と水になってまた生物の原料となります。浜に打ち上げられた動物の死体の有機物は,こうして有効利用されるのです。


 とはいえ虫に食われるってのはなあ。


 隣にいた若いのがどうやら同じことを考えてたようで,顔を見合わせて,
「海で死にたくないね」
「そうですね」
という深い会話を交わしてしまいました。


 でもよく考えたら,どこで死んでもその環境でのスカベンジャーに食われるんです。深海に沈めばオオグソクムシに。森で死んだらハエやシデムシに。骨だけ残して,私の身体を構成していた有機物はその場所の物質循環に組み込まれ,やがてすべては二酸化炭素と水になり,また光合成で有機物となって地球を巡っていきます。それが「土に還る」ということ。

 


 昔,藤原新也という写真家がインドに行って,ガンジス川で水葬に付された遺体が中州に打ち上げられて野良犬に食われている光景を目にしました。彼はこう思いました。ああ,インドでは人も犬に食われるくらい自由なんだ,と。そしてその写真を収めたインド紀行を出版しました。本の名は「メメント・モリ」,ラテン語で「死を忘れるな」。本来はいつ死ぬかわからないんだから今を楽しめ,くらいの意味だったのですが,キリスト教的解釈を経てより「死」の意味合いを強めて流布される言葉です。そう,ヒトだって死は不可避。虫に食われ土に還るのもまた一つの自由なのかもしれません。

 

 

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 このあと全員で「潮騒はまなす公園」の池でザリガニ釣りなんかしちゃったりして。なんだかなあ。

 

 

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ミヤマクワガタと少年の日

 

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 ミヤマクワガタを持っていたら,それだけでヒーローでした。

 

 組の○○が採ったってよ,というウワサは1学年9クラスあってもすぐ伝わり,それが他クラスの子であっても見に行ったりしました。


 小学校時代,とうとう私は採ることができなかった。本当に本当に欲しかったのに。


 図鑑では日本全土に産する普通種,とあります。でも私の暮らす茨城県では平地にはいません。特に水戸ではまず見かけませんでした。


 ミヤマクワガタを採集できるようになったのは,生物屋としての修練を積んだことと自動車という移動手段を得たから。今なら,7月前後であればミヤマが欲しいという要求にすぐに応えられます。それはそれで,つまらない大人になったなあという感慨もあるのですが。


 先日,職場の雑談でミヤマクワガタの話になりました。ほとんど県内出身者なので,みんなミヤマクワガタが欲しくて欲しくて,でも採れなかった男の子たちであることが判明。どれ,ひと働きしてやるか。

 

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 もう8月も終わりでしたが,我ながらプロの目です。いつものフィールドであっさりと,元気なオスを捕まえることができました。納戸から古い虫かごを引っ張り出してきて,翌日の職場で公開。

 

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 大きな男の子たちが目をキラキラと輝かせて,樹液の虫のようにわらわらと集まってきました。20代のひげ面男の子から50代のジジイ男の子まで,それなりに酸いも甘いも経験済みの男の子たちです。

 

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 ああっミヤマだあ 憧れだったよなあ この頭のソリがいいよな おおこれぞミヤマクワガタ ずっと欲しかったんだよなあ この,このツノの先っちょがあ

 

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 男の子たちの興奮が続きます。で,お決まりの質問「どこで採った?


 これですこれ。ヒーローインタビュー水戸市内だよ,と答えて驚く他の子たちの顔を眺めるこの優越感!


 男の子たちはこれがやりたくて,蛇やスズメバチや毒毛虫の恐怖におびえながら夏の森に分け入ったんです。あの,遠い遠い夏の日に。よみがえる草いきれ,あふれる汗,握りしめた捕虫網の感触。スイカ,花火,海水浴,夏の思い出,夏だけのものたち。

 

 女性から見ればくだらないことかと。でも男は,死ぬまで男の子なんです。どこか心の隅っこに少年の自分を抱えたまま,長い人生を戦い抜きます。そして来る最後の日。お別れのその瞬間,脳裏に少年の日の情景を思い浮かべることができたなら,間違いなくそれは幸せな生涯だったことでしょう。かくありたし。

 

 

 

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 結局このミヤマは,息子に見せたいという若いお父さん男の子が持っていきました。家で息子を前に自慢する顔が浮かんできます。1~2週間は楽しんでもらえるかな。

 

 

 

 

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