ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

花を置いて

 

    水戸は最近でも朝が氷点下だったりします。
    内陸の前橋や宇都宮より寒いんだから本当にもう。

 

   
 でも春らしい薄雲がかかり、それを通してさえ温かみを増した陽の光や

 


 光を喜ぶ花壇の花々に季節の進展を感じます。…… あ、ハボタンは花じゃない。

 


 図書館前の大エノキはまだ冬もよう。

 


 ケンポナシの木にはヤドリギ水戸市内、意外とあちこちに引っ付いてます。

 


 ヤブツバキはまだ盛り。

 


 アセビもほぼ満開。御岩神社の山上にも群生していて、これから見ごろでしょうね。

 


 前にご紹介した時は固く閉じていたサンシュユもほころんで

 


 早咲きの桜と覇を競ってます。ここを歩く人がみな足を止めてスマホをかざすほどに。

 


 植え込みのレンギョウ

 


 この「駅までさんぽ」の帰路は、冬の間は北風を避け陽射しを欲して街なかを通りました。ようやく那珂川沿いを歩けるようになった。堤防の菜の花が綺麗です。

 


 畑の傍らに小柄な木が一面に花を付けていて、寄ってみたら俗にミモザと呼ばれるフサアカシアです。開花の刻に歓喜の声をあげてました。

 


 そこに日暈ひがさの虹がかかる。ああこれぞ春。

 


 久しぶりに通った道のその道端から、赤い光に呼び止められました。花じゃないぞ、何だこりゃ。しばし思案して、ここに昨夏ヒメフウロの外来品種が咲いていたことを思い出しました。紅葉した葉を固く丸めて、そうかこんな姿で冬に耐えていたんだ。

 


 またこんな愛らしい花を見せてくれるでしょう。

 


 水戸では希少なニッコウキスゲの自生地もまだ開発から逃れられてます。

 

   
 夏緑樹林「水の森」にも行ってみました。つららは滴る水滴に代わって

 


 見たぞニリンソウの一番花。まだ貧相な一輪。やがてこれが林床を埋め尽くします。

 


 ユリワサビも咲いていた。

 


 拡大すればアブラナ科らしい十字花。春に特化した一族がこれから次々と開花します。

 

  
 そして…… カタクリの一番花に出会いました。この春の喜びを体現したような美しさはもちろんいずこでも不変のものでしょうけど、私は二年前に新潟で見た大群落を、そしてかの地の春の花々の饗宴をいまだに夢想します。雪国の春はこれから。そういえば、浅い春を追ってずっと北に旅をする夢を書いたことがありました。

 


 春の花神の名を佐保姫さまといいます。
 北へ北へと山河を渡っていきます。空に地に、花々を置きながら。

 

 

 

 

↓ 春はつい浮かれて。

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爪が割れた。亜鉛が足りてない

 


              机の隅がカオスだ。

 


 ガスコンロが壊れました。コンロそのものではなく制御する電子部品の故障ですべて廃棄になるという、じつに今どきのひと騒ぎ。コンロ自体は一週間ほどで新品が入りましたが、家人がついでにレンジフードと洗濯物のガス乾燥機まで新調したいと言い出して、すべて完了するのに三週間かかりました。工事に付き合うこっちの身になってくれとも思いましたが、普段使うものが最新になると気分もアガるようで、浮かれた家人が花柄の鍋敷きまで設置しちゃいました。まあ家族が喜ぶのなら良しとします。

 


 コンロ設置まで煮炊きはこれで。防災用品のカセットコンロをこんなことで物置から引っ張り出すことになるとは。備えておくもんだ、とは思いました。…… 昨年末に防災用品の記事を書いた十日後にまたこの列島が揺れて。よりにもよって元旦の夕に。私には他人事とは思えなかった。

 

       
 東日本のときに福島の薪を拒絶したあの町の人には今回も他人事であったろうか。一生言い続けてやります。

 

  
 それにしても築20年。一昨年あたりから家の備品の不調やら修理やらが続きます。住み続け、使い続ければ当然のことではありますが、今どきの家はやたら電子的な装備が多いことが事態をややこしくします。床暖房やオール電化を導入しなくて本当に良かった。ましてや外出先からスマホで家電の操作をするなんて、不具合が生じたときのことを考えるとぞっとします。私は本当はもっと小さな家で、シンプルな環境で今のスローライフを楽しみたかったんですが、老親ほか家族が安んじて暮らしてくれたのでそこは黙すべきか。

 


 もっかの悩み事は、庭の小屋の屋根を自分で修理する算段と、ローンを借りるとき銀行に契約させられた火災保険の更新をどうするか。ああこまごまとこまごまと、容量の小さな私の頭はもうこれで一杯になり、世界征服を夢見る余裕がありません。ぜんぶほっぽって(放りだして)しまおうかなあ。うふふそうよ、イノセントな私に戻るの

 


 時間はこの世の人にもモノにもすべからく公平に作用して、みな劣化退色崩壊の網から逃れることはできません。那珂湊を散策して目についたこの改修中のガソリンスタンド、地下タンクまで修繕するとなると物入りだろうなあ。でも思い出したのが20年以上前、このGSで給油したらボンネット点検をサービスするのでお待ちくださいと言われ、呼ばれたときにはプラグが汚れていたので交換しときましたと黒いプラグを見せられて、しっかり請求されたこと。前日に交換したばかりのプラグを。ああ、今ならもう商売できないほどに大暴れしてやるのに。まだあんないんちきメンテナンスやっているんだろうか。

 


 そうメンテナンス。もしこの世が滞りなく回リ続けているのなら、それは常にメンテナンスされ続けているからです。極言するなら、人の仕事はすべてこの世界を維持するためのメンテナンス。立法司法行政はもちろん農業も交通も銀行も、この世を回し続けるための点検・修繕システムなのだと思うのです。

 


 あなたはいま幸せですか。もしささやかながらも幸せを感じておられるとして、それは突然降ってきたものですか。たぶん、たぶんですけど、その幸せはあなた自身の努力で得られ、維持されているものではありませんか。時の力は人の心や、そこに点る灯さえ劣化させる。小さな幸せを心に灯し続けたいなら、メンテナンスの努力を続けねばなりません。それは例えば健康を維持すること。周囲の人に感謝すること。朝にカーテンを開けること。神仏に祈ること。洗濯すること。料理すること。それが少しでも自分や家族や他人のためになるならと続けていること。小さな戦い、小さなメンテナンスの積み重ねが、今のあなたを幸せにしているのだと思います。それは愛と言ってもいい。


 というわけで表題です。爪が割れました、それも3か所も。いかん亜鉛が足りてない。亜鉛はタンパク合成やDNA合成に関わる酵素の必須成分、爪が割れるのはそれが上手く働いていないから。補給は百均のサプリでいいのかな。カキとか食べなきゃ駄目なのかな。健康はすべての幸せの基礎、身体のメンテナンスは最優先事項です。

 


 待ちに望んだスローな日々の二年目が終わります。メンテナンスに明け暮れています。

 

 

 

 

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聖地の河原にて

 

       
 沢に来ています。いえ、河原にお供物を置くにしても、前回のだけではちょっと貧相に思えたもので。

 


 沢を歩くと目にするのがこれ。何だかわかりますか。あまり上等でないメノウ(玉髄)が集められてます。先にこの沢でメノウ拾いをした方の放棄物です。これを
「もうここのええもんはオレが先に頂いたぜひっひっひ」と取るか
「私が不要のものです。こんなものですいませんがよろしければどうぞ」
と取るかでこちらの品位が問われます。私も同じようなことしているのでああやられたなくらいで看過してます。駆け引きなのよね。ちなみに同じことして私が込めるメッセージは「ぐははざまあ」いや違った「お先に失礼しました」です。品位品位。

 


 ここら辺なら信徒の皆さまに喜んでもらえるかな。…… 念のため申し上げますが、沢歩きを勧めているわけではありません。滑落、転倒、落水、岩角や枯れ枝での受傷(特に目)、毒虫、毒蛇。沢は危険がいっぱいです。間違ってもお子様連れで入ってはいけません。私が沢のメノウを河原に持っていくのも、そこらへんが理由でしょうか。

 


 ほんのりと漂う甘い香り。ビワの花が咲いてます。茨城では寒さゆえあまり元気のない果樹ですが、へえ今ごろ咲いてるんだ。静かな山里に香る南国の夢。

 


 やって来ました久慈川メノウ教聖地の河原。いまだにソレ言うか、とかツッコまれそうですがいいんですボクの自己満足で。今日もそれぞれに楽しむ方々が。テントでひとり野営予定の中年男性、それぞれの車で乗り付けた若い男性3人は流行りのスタイルをキメるのが目的のようで、奥には四駆で中洲に乗り込んで子どもを遊ばせる男性。いずれも私がお声をかける対象ではありません。さあメノウをばらまくぞ。

 


 前の記事でお見せしたここらの小粒は

 


 まとめて石積みに隠しました。メノウ教信徒なら気づいてくれるでしょう。

 


 草しかなかった河原にいつの間にかヤナギが根を下ろしていました。すでに何回かの洪水に耐えてます。こいつの根元にも大き目の玉髄を一個。他のメノウも、車に踏まれるのを避けて枯れ草の間に置かせていただきました。縁あれば。運あれば。

 


 ちなみに上流側にあるこれ、以前の記事の珪化木じゃありません。まだ「木」ですよー


 最近YouTubeにメノウ拾いの動画をよく見かけます。その中にはこの河原を具体的に紹介しているのもあって、責任を感じることしきりです。それがこの置きメノウという不毛な行動の理由。久慈川動画は例外なく来た!見た!採れた!という内容ですけど、現場をご存じの方は「?」ですよね。そんな簡単なもんじゃない。動画はもちろん編集、ときに演出だってあるはず。そもそもの元凶は私です。だからせめて、そういう動画を見ておいでになった方が落胆してお帰りになるのは避けたいと思うのです。この偽善者め。

 

 この聖地で、休日のご家族連れにはお声をかけたりします。グレーのエスクードに気づいたら怖がらないでね。今日も久慈川に皆さまの笑顔があらんことを。

 

 


追記 わらしべイベントに協力してくださっている信徒の方々への感謝も、もちろん忘れてはいません。どうぞ遠慮なく 久慈川メノウ教大神官 と名乗ってください、うふふ。

 

 

 

 

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久慈川メノウの肖像 聖地の河原に行く前に

 

 ひねりも何もありません、超ド直球タイトル通り。聖地へのお供物をしばらく怠っていたので手許のものをまず記録してから、と思い立ったわけです。里子に出す前の記念撮影なんて言ったら悲しいかな。なるべくきれいに撮ってやったので、楽しんで見ていただければ幸いです。

 


 ここ1か月ほどの拾いもの。赤いの少ないなと思ってよく考えたら、玉川に行ってませんでした。メノウそのものより探索することに興味が移ってきています。

 


 これは那珂川の支流・緒川の玉髄。記事にしましたっけね。

 


 ちゃんと蛍光する。

 


 晶洞もあり、クリーニングしたら艶もきれいでした。聖地の河原で誰かを待ってます。

 


 はいこれ。前回の記事で神さまからの賜わりものとしたぶつぶつ玉髄でございます。仏頭状構造の上を微結晶が覆っています。これは光るぞと申しましたが

 


 やっぱり光った。

 


 部分を拡大しても良い景色です。

 


 でもやっぱりぶつぶつが好き。ごめんなさい、神さまからの頂き物でもあるし、やっぱり手放せません。このビンボー人が。

 


 こちらは同日に別の沢で拾ったもの。選んだ基準は「蛍光しそうなやつ」。


 ね。それでは各個に

 


 コレは一見するとただの石英のひとかけら。でもこの透明感のある乳白色は蛋白石オパールの特徴です。

 


 ほら。最近は見た瞬間にこういうのがわかるようになって…… あああまた一銭にもならないスキルが身に付いてるうう。

 


 お次のこちら、この手の純白仏頭状はもう定番。

 光ってもああやっぱりね、なんて感想になってしまう。いかんもっと感動しなくては。

 


 爆炎の如きぶつぶつ。ぶつぶつぶつぶつぶつああたまらん。 ← 変態

 


 これはメノウの晶洞を囲む構造のひとかけらと思われます。オパール部分と玉髄部分の発色の違いがよくわかります。

 


 好きですこういうの

 


 次のも晶洞の一部。仏頭とその基部が見えてます。

 


 遥か昔、北海道・大雪山の強風吹きすさぶ岩稜で見た空がこんなでした。

 


 蛍光シリーズの最後にこれをお見せします。酸化鉄の沈着が何だか痛々しいひとかけら。

 


 鉄分が蛍光を遮ります。でもこれの真骨頂はひっくり返した裏側でした。

 


 うぎゃあ、何とも荒涼たる景色です。仏頭状構造の上を微結晶が覆い、酸化鉄が赤茶色に被ってさらに先端が削れる。よくもまあこれだけの試練に耐えたもんだ。結果としてこの玉髄は、唯一無二の光を手に入れました。透過光を当てると

 


              わああ。

 


 こんなの初めて見た。予測もつきませんでした。すいませんこれも手許に残せてください。

 


 最後は定番モノで皆さまのご機嫌をお伺いいたしましょう。いずれも「久慈川で拾った玉川系メノウ」の分類です。

 


 やっぱり久慈川メノウはこうでなくちゃ。これでも信徒の皆さまの分を取らぬよう、場所選びには気を遣った結果です。

 


 蛍光はさまざま。個性あふれる久慈川メノウです。赤いのはやっぱり光らなくて、それが最近玉川から足が遠のいてる原因だったりする。すっかり蛍光好きになってしまいました。

 


 いちばん赤くて大きいの。

 


 蛍光はないけど透過光にするときれいです。

 


 ただこの表面の模様、成因が想像つきません。本当に多様です。

 


 同じく赤いの。

 


 メノウらしい縞模様が見えます。

 


 蛍光を強く発したやつ。

 


 玉川独特の「型押し」メノウ。他鉱物の結晶形が形に残っています。

 


 さあいかがだったでしょうか肖像写真。ビンボー人根性からやっぱり手放せないメノウが出てしまってすいません。代わりに再度拾いに行って量だけは確保、聖地の河原に置いてきました。そこらの話はまた次回にお話しいたします。

 

 

 

 

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めぐるダンジョンの日々

 

 フィールドという名のダンジョンめぐる日々の、ここ一週間ほどの記録です。


第一のダンジョン 氷雪の森

 


 福島県境を目指していたら、林道がアイスバーンになり車を捨てました。北国の人にはどうってことないでしょうけどこちとら雪に不慣れ、無理はしない。

 


 こんなとこにもカヤラン。けっこう寒いとこにもあるもんだ。結局これ以上のものを見ずに終わった雪の中。色彩のない世界を私は不得意にしています。

 


第二のダンジョン 忘れじの谷

 


 コシダの群落が迎える谷の入り口。「コ」シダと言いつつ小さくありません。この場合シダとは無限成長する「ウラジロ」のことで、それより小さいのでコシダ。南方系の美しく逞しい植物で、ハワイでは山火事や噴火の跡地を埋め尽くすんだって。

 


 鉄のゲートで閉じられて、車の心配をしなくていい林道を進みます。ここは何十年も昔に歩いた記憶があります。植林地の中を行く何の芸もない谷ですが、なぜか印象深く、いつか再訪したかった。こうして時間が自由になり、心の余裕ができたことを有難く思います。…… 今年もいい条件で再任用の話が来ましたがお断りしました。もう働きたくないでござる。

 


 わあ、岩一面にスミレモ。気生の緑藻ですけど、こんな自然の場所に群生するのは珍しい。普通は山中の忘れ去られたような祠の石垣に付いています。

 


 変なもんあった。血管模様が気色悪いというか面白いというか。どうやらジャケツイバラの豆ざやの外皮が剥がれたもののようです。この季節ならではの見ものかな。

 


 とりあえずヤンマタケ探索大義名分にしているので沢に降りてみます。冬眠から覚めたサワガニを驚かせてしまった…… のはパンニングで毎度のことだけど、写真をよく見たら背に二つも大穴が開いてました。脚も一本足りない。タヌキとかカワセミとか敵だらけの中で生きている、その厳しさよ。

 


 ここは険しいV字谷が続くのですが、傾斜が緩やかでかつて沼だった場所があって、そこが土砂で埋まっていました。それがいま見慣れぬ、妙に立ち姿の立派な木の林になってます。1本1本にタグが付けらていることから植林されたものと知れます。こんな場所にはて何だろう。

 

 

 落ちた葉と樹皮で正体が知れました、これハルニレだあ。うわあ感動。ニレ科の落葉高木で、九州まで分布しますが北方系。北海道ではエルムの名であちこちに有名な並木道がありますね。茨城では希少で、県内数えるほどしか自生地がありません。それをわざわざ誰が何の目的で植えたのか。想像するだけで楽しくなります。

 


 なんて今のこの谷を味わいつつ4キロほど遡上、沼にたどり着きます。かつては林道の終点からさらにけもの道を歩いてほとりに立ちました。斧を投げ込んだら女神さまがぬっと出てきそうな神秘の湖面でした。今はすぐ隣を新たな林道が通り、周囲の森は伐採されています。ああやはり無事では済まなかったか。

 

      
 それではと今日は林道を越え、峠に向かう山道を行ってみました。初めての領域です。するとぽかりと、巨樹の茂る森に出ました。おおお。我が聖なるツクツク森にどことなく似ています。これ、こういう森を探していたんです。ダンジョンの宝箱にたどり着いた気分です。これで夏に再訪して冬虫夏草があったなら今日のこのクエストは大成功ということになります。なんか調子出てきたぞ。

 


第三のダンジョン 忘却の里

 


 次なるダンジョンは奥久慈男体山に続く火山角礫岩の大岩塊。以前にも記事にした、廃村になりつつある山上の集落です。

 


 水戸ではまだ朝に氷点下なれど、陽射しの暖かなことったら。ダンコウバイがこの山上の春告げ花です。

 

  
 この細い道の奥、さらに山道を登ったところにおばあさんがひとりで住んでいるらしい。何と言うか、凄絶ですらあります。

 


 かつてご先祖が田んぼを作っていた谷地に、今はヤマアカガエルが育ちます。

 


 谷に入ります。

 


 やっぱりヤンマタケはないけれど、コケの緑が生気を放ちます。常緑で冬から変わらないはずなのに、色合いも光も全然別ものに見える。生命の気としか表現できません。

 


 ここの主役はトラノオゴケ。盛んに胞子を放出しています。

 


 胞子のうを拡大すると…… おおこれぞダンジョンの魔物。接写って楽しいなあ。

 


 ウチワゴケがあったので細胞一個まで写してやれ。

 


 同じ岩の上にワスレグサの芽吹き。この姿ではワスレグサ類としか言えませんがさて何だろう。ヤブカンゾウノカンゾウユウスゲ、もしくはゼンテイカニッコウキスゲ)。ぜんぶ可能性があるので、夏に咲く花を見ないとね。

 


 わあいキクラゲ、タマキクラゲという種類。春の雑木林でよく出会います。

 


 大好き赤い実ヤブコウジ

 


 青いのは ヤブラン  ジャノヒゲの種子          

 


 タチツボスミレ

 


 スミレの季節が始まるのだなあ。スミレ好きのこの私、フジスミレのためだけに日光まで行ったし、おととしはオオバキスミレを目標に新潟まで遠征したっけ。またスミレのために旅に出ようか。好きなものがあるって人生を外向きにしてくれます。


 下を見て草花を追い、上を見てヤンマタケを探す。忙しく立ちまわる私でしたが

 


 わああ仏頭状玉髄。沢の砂地にちょこんと乗るように。

 


 長辺12.5 センチの立派なものです。これ絶対に蛍光するぞ。自分の足跡しかない沢の中であまりにもあからさまな置かれ方。久慈川の神さまからご褒美をいただいた。そう考えることにします。

 


 ここでメノウというのは想定外でしたが、あって不思議ではありません。そういう眼であたりを見回してさらに何個か見つけましたが、まあ持ち帰るほどでは。ちなみにこの層状に石英が貫入したメノウ、掘り出してひっくり返したら

 


 一面仏頭状構造でした。ブラックライト当てたいけど、懐中で持ち帰るにはちと大きすぎた。

 


 沢を出たら午の刻を過ぎてました。久しぶり、お湯を沸かして

 


 ふっふっふ。セイコーマートブランドのカップそば。セコマはそれだけで記事にしたいなあ。

 


 うまかった。でも量がちと足りない。小食な私ですが結局帰りの道の駅で弁当買ってしまいました。

 


 展望台に黒ずくめでガラの悪いおっさんひとり。

 


 ふもとの山里は陽光と春風に満ちて。ここもいつか、長い時の試練の果てに忘れ去られる日が来るのでしょうか。

 

 

 

 

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王国の春は接写から

 


 散歩の路上に今年の初スミレを見ました。コスミレかな。しまった春が足を早めている。わが王国はどうなってる。…… というわけでマクロレンズ引っ提げて庭に出ました。さあ接写大会の始まりです。気色いい写真ばっかりだから覚悟してね。

 


 祖父が丹精し父が台無しにした盆栽の鉢に地衣が繁殖していました。藻類を共生させた菌類、ボクの大好きな異形の生命です。これはヒメジョウゴゴケ

 


 同じ盆栽の残骸上にイワヒバが生き残って繁茂してます。紅葉した葉を拡大すると鳥の足みたいです。

 


 庭の一角「三角地帯」を、今年はユキノシタの丸い葉が埋めつつあります。生物の研修に使える紫の濃いやつ。それ用にと頂いた一株がよく増えてくれました。もう私が使うことはないのだけど。

 


 ゼニゴケの親戚ジンガサゴケ。メスの植物体が繁殖の準備を始めてます。春はコケにも恋の季節です。

 


 庭に転がしてあるメノウを、シャレのつもりで超接写してみたら地衣が芽生えていました。画面中央に緑っぽい点点が横に並んでるのわかりますか。溶岩が冷えたあと最初に定着する生物。かつて火星にもあるんじゃないかと言われたことがありましたっけ。

 


 我が王国の春の彩りクサボケが、今年もつぼみを膨らませています。

 


 拡大したら先っちょをかじられてた。

 


 近年すっかり定着してしまったルビーロウカイガラムシは、いくら駆除しても必ず目こぼしがあって復活してきやがります。ウメモドキを弱らせていたのを冬の初めに徹底して取り除いたつもりが、ちゃんと引っ付いているもんなあ。以前ロウソクにした記事を書きました。(デーモン閣下の声で)お前もロウソクにしてやろうか

 


 コケというのもまあ色々ですが、都会にも普通のあるのがこれギンゴケ。ブロック塀の下の方に銀色の丸っこい群落を作ります。接写したら葉の付け根に無性芽をいっぱい付けて増える気満々なのが見て取れます。こんなものも春を待っていたんですねえ。

 


 さてこれは。そーです着生植物クモラン。茨城では希少。先日の大風のあと、スギの枝に付いたのがおびただしく落ちていて、その様子があまりに不憫で何本か枝ごと連れ帰ってしまいました。いつも言ってますが落ちたものは長くは生きられません。わかってはいたのに。

 


 その中の一株がなんと胞子、じゃなかった種子を飛ばし始めました。ああこんな場所で。

 


 裂開まえの果実。全長4ミリ。コケの胞子のうと何が違うというのだろう。中の種子も哀れなほどに極小で、自活できるような養分を持っていません。ランの種子は共生菌から養分をもらうことで初めて発芽できるという、これまた多様な自然に頼りきった生き物なんです。

 


 ぱーんと弾けて。この糸みたいのは弾糸ってやつ? コケやシダにある、胞子を弾き飛ばすやつ。こんなとこもコケなみです。でもコケや地衣みたいな逞しさはありません。我が王国に定着することはないんだろうなあ。哀しいなあ。

 


 これもどうなるんだろう。ニッコウキスゲことゼンテイカ。水戸の産地はいつ誰かの気まぐれで開発されてしまうかわかりません。さすればこの気品ある美しい花も絶えるでしょう。せめて遺伝子は残さねばといただいてきた種子は20個。発芽したのは5個で、生き残ったのはこれ一株。情けないほどに発芽率の悪い種子、哀れなほど生命力に欠けた植物体。そりゃ滅びるわなあ。

 


 ほわんと漂う芳香で、ジンチョウゲが開花していることに気が付きました。こんなまっとうな庭木があることを忘れていた。王国の春のはじまりです。

 

 

 

 

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聖なる森とヤンマタケ

 

 ヤンマタケを求めて森を巡る冒険を続けています。でも本当に探しているものは何だろう。

 


 1月末の空振りに終わった沢歩き。ぽかりと空間が開け、肌にしっとりと来る、妙に「気」の良い一角に出ました。

 


 ここはコケの緑が特に鮮やかで、しばし撮影に夢中になりました。

 


 去り際、振り向いたらこれがあった。結界だったのかも知れません。

 


 古代ローマの政治家・哲学者キケロは、大木の茂った森の中へ入ると人は神の存在を知る、と言ったそうです。また聞きです、キケロなんか読んだことありません。ただ妙に日本人の自然観に符合すると思いませんか。聖なる森、という概念です。そこに立つだけで神霊の気と交歓できる森、奇跡が現れる聖なる場所です。沖縄の「御嶽」がそうでしょう。私が記事にする御岩神社やツクツク森もそう。いずれも原生の自然が保たれた、多様な生態系が残された森です。そこは冬虫夏草のみならず、あらゆる生命の息づく土地であるはず。たぶん私は、そんな奇跡の場所を探しているんです。

 

 


 さて本日。例によって地図で当たりを付けた沢にやって参りました。今日こそはヤンマタケを見てやるぞ。毎回言ってるけど。

 


 いい空気感の沢です。でも周囲はスギの人工林、残念ながら多様性に乏しく、我が聖なる森ではないようです。でもとにかく探してみよう。

 


 ヤンマタケのような空中の器物に着生(気生)する冬虫夏草の存在条件は湿度が高いこと。このコケの生え具合を見る限り、場所選びは間違ってません。

 


 コケたちが胞子を飛ばす季節が始まってます。歓喜の声が聞こえるような。

 


 常緑の葉にカビゴケ。これも高湿度の証拠。

 


 もひとつ、このカヤランのような着生ランも目安になります。たくさん落ちてました。

 


 冬緑性のオオハナワラビの「花」がすっかりスガれて。冬のものたちの退場です。

 


 同類のアカハナワラビ。県のレッドデータで「情報不足」の分類です。

 

   
 なんて感じで歩き、時にやぶを這いまわったりしますがやっぱりヤンマタケは見つかりません。今日も駄目かなあなんて、もうすっかり負けグセが付いてしまいました。思えば昨秋あたりからヤンマタケを意識していくつのフィールドを巡ったことか。…… 探し始めて2時間、ああ腹減ったなんて気が萎え始めたころ

 


                  あ。

 


  あったああ。ようやく見つけましたヤンマタケです。宿主は赤トンボ類のノシメトンボ

 


 沢沿いのアオキの実生が茂る低木林、水辺から8メートル、地面からの高さは2メートルほど。ようやく新産地を見つけました。

 


 状態はいい。でも成熟はしてません。さあこれが悩みどころ。現地に置かないと追熟はできません。ぜひこれを見せたい昆虫少年と次に会うのは一か月以上先、ここで様子を見る余裕はあります。でもこれ、枯れ枝に着生してます。いつ落下するかわからない。ならばすぐ採集すべき。次に来たときに、なんて期待や計算が裏切られた経験は山とあります。でも追熟もさせたく…… ぐぐぐぐぐ。散々に逡巡し、道を行きつ戻りつ悩みましたが結局現場に残すことにしました。

 


 それにしても、この一個体を見るまでにずいぶん苦労しました。ヤンマタケが減ったように感じます。理由も思い当たります。ヤンマタケの過半はノシメトンボなど赤トンボ類が宿主なのですが、その赤トンボが激減しているんです。あの稲穂の空を覆いつくすようにトンボが群飛していた当たり前の日本の情景が過去のものになりつつあります。県によってはノシメトンボアキアカネをレッドデータに登録する動きもあるくらいです。赤トンボは水田でヤゴが育ちます。その水田で近年使われるようになった薬剤が、ヤゴに致命的に作用するのだと。「効率化」の名の元、また一つ日本から大きなものが奪われつつあります。限界に達した資本主義によるコモンの破壊、なんて言うのかな。その末端でヤンマタケの衰退が始まっています。

 

 


 なんか愚痴のようなまとめになりました。ようやく行き着いたヤンマタケの産地。でもなぜでしょう達成感はなく、ここじゃない感がぬぐえません。その理由が冒頭に並べたごたくになります。つまり私はヤンマタケにかこつけて「自分の」聖なる森を探していたと、そういうことなんです。

 

 

 

 

 

↓ 昨年の記事。

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