ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

リンゴ園とケーキ屋と 茨城激走5000キロ!(うそ)

 

f:id:xjino:20181022234539j:plain

 治ったぞー。


 手術から1週間。傷の痛みもなく,完治です。


 思えば8月末からこっちずっと不調だったのは,そけいヘルニアとそれに伴う運動制限のせいでした。治ってみたら体の軽いこと。さあフィールドに出るぞ。


 …… としたいところですが,不調の間に溜まった雑用をこなすので手一杯。日曜の今日は朝から庭仕事をして,気づけば半日が過ぎてました。これはいかんと,昼過ぎに車を乗り出す行先は常陸大子。袋田のリンゴ農園で秋の実りを体感するのだ!

 

f:id:xjino:20181022234611j:plain
 1時間後にはいつものリンゴ園,二十年来おなじみの農家さん。というか立派に会社レベルの,大型バスも停まるというやり手のリンゴ屋さんです。駐車場から橋を渡るという心憎い演出。

 

f:id:xjino:20181022234631j:plain
 清流におサカナ。オイカワかな。

 

    f:id:xjino:20181022234651j:plain
      たっぷり試食ができます。

 

f:id:xjino:20181022234729j:plain
 茨城で作れない作物はない。リンゴもたくさんの品種が時期をずらしながら店頭に並ぶので,コンプリートしたければ何度も足を運ぶ楽しみになります。

 

f:id:xjino:20181022234754j:plain
 果物がたわわに実る風景っていいものです。豊かな気持ちになれます。


 さてリンゴは買えた。ここでツレがとんでもない提案。大甕(おおみか,日立市の駅前のケーキ屋のイート・インでお茶したいと。…… おいおいおい,ここから山二つ向こうだぞ。

 

f:id:xjino:20181022235020j:plain
 で,1時間後には着いちゃっているんだよなあ。茨城県は道が整備されていて,特に県北地域は交通量も少なく移動が楽なんです。行く先々に何かあるし,これほどドライブが楽しい県て,なかなか無いと思う。

 

    f:id:xjino:20181022234920j:plain
 日曜の午後なのでほぼ売り切れ。ハロウィンなのね。あ,○○食べました!的レポートは趣味じゃないのでケーキの写真は載せません。最近のケーキ屋さんは「インスタ映え」を意識した盛り付けをしなければならないとか。お客商売の方々,その時々の時流に合わせるのって大変ですね。

 


 ひたち海浜公園から帰る人々の車列を避けつつ帰宅です。出発から4時間で帰宅。4時間でリンゴ買ってケーキ食って山から海へ移動距離100キロ。日曜の午後の陽射しを浴びながらの快適なドライブ。思いつきでしたけど,図らずも休日らしい休日を過ごせました。茨城暮らしに不自由なし。

 

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ
にほんブログ村

そけいヘルニア日帰り手術 そして「老人Z」

f:id:xjino:20181014171638j:plain

 1万アクセス突破した,と喜んだ翌日に手術。なんとも浮き沈みの激しい人生です。


 気づいたのが8月の終わり。左下腹がぽこんと膨らんでいるのを見てああ,と。


 右を20年前にやっているのですぐ知れました。腹膜に穴が開いて,腸が膨らみ出る病気です。古い人は「脱腸」という。基本は痛くもかゆくもないのですが,腸が出すぎると痛くなり,部分が壊死すれば命に関わります。手術でしか治りません。


 20年前の手術がなかなか大変だったこともあり,仕事の忙しい今は休んでられないと放置していました。この9月のブログ記事はそんな状態で書いてたのよ。しかし常に下腹を気にし,運動したり腹圧が上がると症状がひどくなるのでなるべく動きを少なくしと腹に爆弾を抱えたような生活を続けることが不合理であるとの結論に達しました。一発奮起して調べたら今は日帰り手術だとのこと。えええ。20年前は入院1週間で傷も大きいのが残りましたが,今は手術したその足で帰宅できちゃうと。


 お世話になったのは市内,百合が丘の「金子医院」。水戸そけいヘルニア日帰り手術で検索して,地理的な都合で決めました。小さいけれどきれいな院内,きちんとした看護婦さんたち,そして若手のスマートなお医者さん(私の周囲の同年代は体形の崩れてるのばっかりなので)。本当は何軒か回って選ぼうと思っていたのですが,ここに決めました。ただ先生がお忙しくて,手術まで数週間待たされましたが。


 手術1時間,麻酔からの回復に2時間。それでおしまい。数センチ切ったので痛くないと言えばうそになりますが思っていたほどではなく,あとは1週間激しい運動を控えれば元通り。ようやく山登りや筋トレが再開できる。ブログ記事も「ジノ。」本来の自然ネタに力を入れます。全国のそけいヘルニアで悩んでいる諸兄(基本的に男性の病気),恐れずお医者さんへ。


 さて手術翌日の今日。さすがに出歩くわけにもいかず,読書とビデオで一日過ごそうと。


 何気なく手にしたのが1991年公開のアニメ「老人Z」。


 監督:北久保弘之
 原作・脚本・メカニックデザイン大友克洋
 キャラクター原案:江口寿史

 

    f:id:xjino:20181014171847j:plain
 海外版のパッケージ。大友アピールしてます。


 いやあ改めて見ても面白かった。と同時に,同じ大友克洋の「スチームボーイ」がなぜコケたのかもよく分かりました。そう,江口寿史です。人呼んでキング・オブ・ポップ

 

f:id:xjino:20181014172551j:plain
 もちろん演出のテンポも素晴らしい。でもやっぱり江口寿史。ヒロインの女の子が可愛いのはもちろん,一瞬の端役にまで江口キャラクター総出演。ジャミラおじさんまでいました。その老若男女の出演者がそろって「生きて」「動いて」いるんだよなあ。素晴らしい。

 

f:id:xjino:20181014172610j:plain
 江口寿史のキャラクターが動くだけでも楽しいのに,ギャグ活劇としての出来も秀逸です。ヒロインがいい子ちゃん過ぎるのも周りがカバー。凡百のアイドル映画は見習ってほしい。その上でSF高齢化問題バイオレンス人間愛まで表現しています。大ヒットしたのも当然でしょう。21世紀の今見てもなんら違和感ありません。

 

f:id:xjino:20181014172726j:plain

f:id:xjino:20181014172745j:plain
 これをセルアニメで動かしたか。もはや狂気。


 対して「スチームボーイ」。大友の絵だったこと。声優ではなく俳優を声に使うというダメフラグを立てていたこと。あの大友克洋がというので,多くの企業がうちにも噛ませろと群がりました,ざまあみろ。作品を見ずに飛びつくからこういうことになるのだ。……なんて言っちゃいけないのはよく知ってますよ。スポンサーがいなきゃ映画は作れませんからね。制作会社が宣伝も配給もやるという日本のシステムではこれが限界。


 あとこの「老人Z」の褒めたいところは,上映時間80分という尺。アニメ映画だからというのもあるでしょうが,監督さんはよく我慢しました。だいたい日本映画は長すぎる。平気で2時間拘束する。内容がそれに見合ったものなら良いけど,大抵の日本映画にはダルいシーンがあります。ああ無駄な長回し,このシーン三分の一で十分だろ。近年で2時間たっぷり楽しめたのはシン・ゴジラくらいですか。


 特に実写の映画は,実際の上映時間の何倍もフィルムを回しています。その膨大な映像を泣く泣く切っていくのが「編集」なのです。観客が見たいのは「映画」であって「撮影の記録」ではないのだから。それが日本映画では監督の自己愛の発露でしかない長尺で小屋に掛けられ,観客は1800円払ってえんえんとコマーシャル見せられた上で2時間拘束されるのです。

 

    f:id:xjino:20181014172933j:plain
 明日の月曜日は大事を取って休暇を消費します。まあ上司もうるさいし。とりあえず雑務は先週片づけたから,のんびり映画でも見ようかな。ブログ記事で映画評も悪くないなと思う今日の私です。

 

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ
にほんブログ村

1万アクセス越えました

f:id:xjino:20181012191325j:plain

 

 

f:id:xjino:20181012191339j:plain


 2018年10月12日,ブログを始めて1年と1か月。とうとう総計1万アクセスを越えました。ツイッターフェイスブックもインスタグラムも使わない,検索からのお客様だけが頼りの個人雑記ブログです。自分で言うのもなんだけど,健闘した方だと思う。真面目に書き続けましたから。

 

f:id:xjino:20181012191410j:plain


 特に数値目標があったわけではありません。ただ文章や写真を晒したかっただけ。でも一つの区切りとして,やはりうれしいのです。皆さん本当にありがとうございます。

 

f:id:xjino:20181012191442j:plain


 例えばツイッターでブログ始めたよ!みんな見て!とかやれば初めの1か月で何千アクセスいったりするのでしょう?よう知らんけど。周囲の人に,例えば社長さんとかお医者さんなら出入り業者にすごめばカウントは稼げるのでしょう? でもそれは私の欲しいモノじゃない。ああ,こうカッコつけるのがいかんのだ。

 

f:id:xjino:20181012191542j:plain


 私のブログを知っているのは遠方の旧友二人,フィールドで出会ったりしてこのひとならと名刺をお渡しした四人,それだけです。他のお客様はすべて検索から来てくれたひと。手違いや目的外で来てしまった方も多いのでしょうが,いきなり花や虫のどアップを見せられてどう思われたでしょうか。人を驚かすのは大好きなんですが。

 

f:id:xjino:20181012191606j:plain


 一つだけ思惑通りだったことがあるとすれば,初期に書いた記事でいまだにカウントを稼いでくれるのがあること。「十年後にも読んでもらえる記事」が目標でしたから,それこそ目的を果たしているわけです。たまたま検索から来てくれた方がそのままいくつも記事を読んでいってくれることも有難く思います。どうかごゆっくり。

 

f:id:xjino:20181012191625j:plain


 「自分アクセス(他のパソコンから自分でアクセスしてカウントを稼ぐ)」はプライドにかけてやりません。ヤフー検索の「キャッシュ」で,ノーカウントで見るだけです。ほらまたカッコつけるし。

 

f:id:xjino:20181012191639p:plain
 9月までのグラフをご覧ください。あらら見事に頭打ち,伸びが止まりました。絵に描いたようなロジスティック曲線,俗に言う「S字状曲線」てやつね。カッコつけてるからこういうことに。いいです,このまま月間1500~2000くらいで推移すればオンの字です。それにここからまた伸びるには蒸気機関の発明並みのイノベーションが必要でしょうし。

 

    f:id:xjino:20181012191705j:plain


 どういうブログがアクセスを稼ぐのかもわかってます。「○○のやり方」的ハウツーもの。株はこう買えなどお金関係。お役立ち知識ご披露もの。アイドルやアーチスト名をタイトルにする,スポーツ選手が何かで活躍したらその日のうちにその選手の名前をタイトルにした記事を書く。以前2000アクセス越えた時,「ブログ 2000アクセス」で検索したら「いや~最初の1か月で2000アクセス越えちゃいましたよ。予定通りだなーわはは。皆さんにもその秘密を教えちゃいますね~」的記事の多いことったら。もちろんどれも興味ありませんし,それを意図してやる気もありません。

 

f:id:xjino:20181012191739p:plain

f:id:xjino:20181012191749p:plain
 ランキングサイト「にほんブログ村」。アクセスが増えた御恩は忘れません。最近は記事を公開すると「注目記事」に取り上げられて,ああ私の記事を楽しみにしてくれている人がいるのかなと有難く思います。3つのカテゴリーに登録しているのですが,3つの記事がそれぞれの注目記事の1位を取ったことも。三冠賞だあ。自慢する相手もいないので,一人ふふふとほくそ笑みます。ただ不思議なのは,注目記事の1位を取っても順位が下がるばかりのカテゴリーがあること。ブログ村さん,これってどういう仕組みなんですか?

 

f:id:xjino:20181012191835j:plain


 先日,仕事中に二度もめまいがしてふらつきました。今の役職になってから,毎年9月から10月に体調を崩します。この時期は責任のある仕事が集中して,ものすごくストレスが高じるんです。じゃあブログなんかやるなと言われそうですが,むしろ逆。記事の中に仕事の話なんか出てきたことないでしょ? 好きなことばかり書いて現実から離れ,つまりは一時避難してまた仕事に向かっているんです。週二回記事を書くのも自分がそうしたいから。決して「課して」いるわけではありません。すぐ数字的なものを自分に課しそれを公言するような人間が,私は苦手です。

 

f:id:xjino:20181012191855j:plain


 何が言いたいのかというと,つまりこのブログは私に必要なものであるということ。これからも続けていきます。もし記事の更新がしばらく途絶えるようなことがあれば,いろいろと大変なことになっているのだとご理解ください。コメントには基本的にお答えする余裕がないと思いますのでゴメンね。

 

f:id:xjino:20181012191910j:plain

  4000アクセス達成の時にそろそろ周囲にカミングアウトを,と書きましたがいまだに秘密のままです。機を失したというかなんというか。1万アクセス達成できて少しは自信が付いたので,少しずつ,本当に少しずつ,まずは私の言動を理解してくれそうなひとから打ち明けていきましょう。やがては職場での「表の顔」しか知らない人にまで。たぶん私にはそういうイノベーションが必要です。

f:id:xjino:20181012192056j:plain

  ただひたすら「自己実現」のために生きてきました。そういう人は多いと思うし,目的とする「自己」もさまざまでしょう。私の場合「仲間」などという他人を巻き込まず,内の世界に閉じたまま一人で歩いてきました。でもこのブログは,そんな私のありように大きな変化を与えてくれたような気がしています。この先どんな道が待っているのか,それを楽しみにブログを続けていきます。

 

    f:id:xjino:20181012192004j:plain
 ブログ村のタイトルに使っている写真。はい,ふざけてます。自分的にはこういう立ち位置でやっていければと思うのですが。

 

f:id:xjino:20181012192122j:plain

 

f:id:xjino:20181012192134j:plain


f:id:xjino:20181012192144j:plain


うつくしいもの とか


ふしぎなもの とか


私が生涯をかけて追い求めるもの


草露の陰に見出すもの


ひとり行くはるかな空の さらにその遠くにあって

 

 

f:id:xjino:20181012192243j:plain


 どうかこれからも「ジノ。」をよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

参考記事

4000アクセス超えました - ジノ。

2000アクセス突破しました - ジノ。

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ
にほんブログ村

少女終末旅行(つくみず)の感想 【いまごろ】

 

    f:id:xjino:20181007164252j:plain

 こうか。こうなのか。やっぱりこういう終わり方しかなかったのか。


少女終末旅行」最終話を落涙しながら読み終えての感慨です。


 多くの文明の興亡を経て,ほとんどの科学技術を失った終末世界の片隅。小さな家に,おじいさんと二人の少女が暮らしていました。3人に血縁はないようですが,配給される食糧をあてに静かに穏やかに暮らしていました。しかしこんな,とうに文明は崩壊しヒト以外の生物が消滅した世界にも戦乱があり,3人の家にも戦火が迫ります。おじいさんは装軌オートバイ「ケッテンクラート」に少女たちを乗せ,遥かな「塔」の高みを目指せと送り出します。街を離れる二人の背後に響く銃声。こうして二人の少女の終末世界を巡る旅が始まります。

 

f:id:xjino:20181007164602j:plain
 チト。小柄な黒髪の少女。本が好きで勉強熱心。豊富な知識と冷静な判断でリーダー格を務めます。ケッテンクラートの操縦も担当。


 ユーリ。大柄で金髪碧眼。見かけ通りにおおらかで,体力,身体能力に優れます。銃器の腕も優秀で,三八式歩兵銃(レプリカ)を愛用。


 二人が最上層を目指す「塔」。作中では「都市」とも表現されていますが,とうとう最後まで全体像は明らかにされません。バベルの塔のような外観を持つと思われますがとにかく巨大で,中層階でさえ高速列車で横断するのに長時間を要するほど。高さは数千メートルに及ぶと思われます。これを作った文明はとうに滅び,続くいくつかの文明も興亡の末にこの塔を放棄しており,次元の異なる複数の時代の製造物が内部に散乱しています。


 二人はケッテンクラートを頼りに,食糧や燃料を補給しながら塔を昇っていきます。途中に出会った人間は,地図を作るカナザワと飛行機で他の都市を目指すイシイの二人だけ。それも一瞬の邂逅で終わり,ほとんどの時間を二人だけで過ごしていきます。次々と現れる旧文明の残滓に戸惑い,驚き,落胆しながら。


 もちろん二人にはわかっています。こんな世界で自分たちは長くは生きられないと。ケガや病気はもちろん,食糧や燃料が補給できなければ,そこで旅はそして二人の人生は終わるのです。せめて自然が残っていたならサバイバルの道もあるのですが,この人工物だけの世界に生物は人間だけ。廃棄された過去の製造物を拾い集めるだけが補給の手段。塔を昇るほどに人跡未踏になり,それすらもおぼつかなくなります。


ベッド,本棚,食料棚,暖房,風呂,観葉植物……
 第11話「住居」で二人は部屋に置きたいものを夢想します。そこは放棄された居住区画,がらんとした部屋に,欲しいものが並べられて行きます。ああ,作中ずっと防寒服に身を包み,いつも飢えと寒さに震えていた二人。どれだけ私が手を差し伸べたいと思ったことか。


 他にも作中には胸を締め付けられるような少女たちのセリフがちりばめられます。


ユーリ 意味なんてなくてもさ,たまにはいいことあるよ(08話 街灯)


チト 水おいしい…… (12話 昼寝)

(イモを食べて)…… うまい(15話 技術)


何も食べなくても生きて行けたらなあそんなの生きているとは言わないぜ(17話 迷路)


ねぇユー,いつかずーっと高くまで昇ってさ…… 月へ行こうよ(20話 月光)


死ぬのが怖くて生きられるかよ!(21話 螺旋)


かつてこの地球はひとつの生命だった だとしたら今はどうなんだろう…… (23話 水槽)


″生命〟って終わりがあるってことなんじゃないかな(24話 生命)


いろんなことを知ろうとするには…… 人の寿命は短すぎる(30話 電車)


ねぇちーちゃん 地球終わるんだって…… うん まあ…… どうでもいいことだろう……(32話 仲間)


(魚の缶詰を食べて)フッフッフッ…… うますぎて笑えてくる(33話 水路)


服が着れなくなるのが先か 私たちが死ぬのが先か…… (36話 衣服)


あの雪のときか…… それ以上に寒い…… (41話 吹雪)


お湯おいしい…… そうだね……(41話 吹雪)


きっとそういう時代もあったんだよ 争いや食べ物のためだけじゃなくて 好奇心を形にするために時間を使えるような…… (42話 宇宙)


いつかすべて終わると知っていても何かをせずにはいられない…… (43話 図書)


あっちを直してもこっちが壊れる …… もう寿命だよ
 二人は第44話「喪失」でとうとうケッテンクラートを失います。持てるものだけ持って上層への旅を続けるのですが,もうこの時点で二人の命運は尽きていました。


最近まったく夢を見ない たぶん疲れているからだ(45話 睡眠)
ねぇちーちゃんは死ぬのが怖い……? (46話 沈黙)
これが生きることなんだろうか…… (46話 沈黙)
 最上層へ続く暗闇の螺旋階段を,手を握り合って登る二人。


生きるのは最高だったよね…… (47話 終末)
とりあえず食べて…… 寝て…… それから考えよう (47話 終末)
 地上数千メートルの氷雪の高みで,最後の食事をし,最後の眠りに就く二人。視点が遠ざかり,二人の姿が広大な最上層の一点に。そこには何の福音もなく,けれども静かで穏やかな,少女たちの人生の終焉が語られています。


 二人に塔の上への旅を命じたおじいさん。でも知っていたはずです,いかなる救いもないと。ではなぜ。…… おじいさんはわかっていたと思います。もう人の世が終わると。ならばせめて,ヒト同士の争いのない清浄な世界に二人を行かせよう。そこで静かに眠りに就かせようと。そこは遠い遠い空の高み。この地上で最も天に近い場所だから。

 


 深く共感できる作品でした。作者「つくみず」さん。迷惑な物言いだろうけど,ひょっとして私に似ている人なのかもしれない。肉をこの世に置きながら,心はいつも遠い世界をさまよっているような。若いひとのようなので,この後の表現者としての成功を祈ります。現世に折り合いをつけながら半世紀を過ごしてしまったおじさんの,切なる願いです。

 


 つくみずさんのツイッターを拝見したら,チトとユーリが二人でいるイラストがたくさんあげられていました。平和な世界で,日常の一コマだったり旅に出ていたり,穏やかに暮らす二人の姿です。


 なんだかほっとしました。

 

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村 

にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ
にほんブログ村

久慈川のメノウ拾いにお連れしましょう

 

     f:id:xjino:20200922201348j:plain


 以前の久慈川・メノウの記事にコメントをくださった「はじめまして」さん,ありがとうございました。今まで気づかず,大変失礼いたしました。これは誰にも内緒でやっているブログなので,コメントをいただけるのは想定外でした。お詫びに替えて,今日はあなたのために久慈川メノウ拾いレポートを。

                                                                                           国土地理院 地図閲覧サービスより
f:id:xjino:20200922201424j:plain
 どこらへんで?とのお尋ねでしたが,常陸大宮市内の久慈川の礫の河原でしたらどこでもOKです。むかし地形図を片手に久慈川の河原を調べて回ったのですが,だいたいどこでも拾えました。とはいえそれでは不親切ですね。いつもはフィールドの場所をぼかすのですが今日は「はじめまして」さんのための特別編。見本というかお試しに,国道293号線が久慈川をまたぐ富岡橋を臨む河原にやってきました。初めての場所ですがきっとあるはずです。 

 

f:id:xjino:20200922201452j:plain
 こんなとこ。さあ行くぞ。 

 

f:id:xjino:20200922201507j:plain
 確実に拾いたいのであれば玉川の方をお薦めします。ただしあちらのは薄くて小さいものがほとんど。久慈川では数は少ないけど大きな塊があります。さあ今日は拾えるかな。本当に宝探しの楽しみがあるのが久慈川です。


 探す場所は河原全般。ただ、新しいものは水際に打ち上げられてます。川の中にも目を凝らします。メノウは濡れていると見つけやすい。 

 

f:id:xjino:20200922201528j:plain
 紛らわしいのはこれ「チャート」。堆積岩ですが成分はメノウと同じ。同様に硬くて,火打ち石に使われました。 

 

f:id:xjino:20200922201547j:plain
 あった。

 

f:id:xjino:20200922201600j:plain
 もひとつ。玉髄だ。 

 

f:id:xjino:20200922201615j:plain
 目が慣れてくると次々に。メノウ拾いの極意は,がつがつしないこと。自然相手に欲をかくとろくなことはありません。ちょっと遊ばせてもらおうか,くらいの余裕をもって探してください。 

 

f:id:xjino:20200922201630j:plain

          f:id:xjino:20200922201713j:plain
 おお。今日一番の大物だったこいつは水中にありました。

 

f:id:xjino:20200922201750j:plain
 小さくてもいい色のが。 

 

f:id:xjino:20200922201800j:plain
 縞模様のあるのは貴重です。 

 

f:id:xjino:20200922201813j:plain
 白い,岩脈タイプのもの。 

 

f:id:xjino:20200922201827j:plain
 固くてもろいメノウは,他の石のように丸く削れたりしません。割れて,砕けるだけ。 

 

f:id:xjino:20200922201840j:plain
 珍しいモノを見つけました。だいぶ摩耗してますが,これは「高師小僧たかしこぞう」と言います。植物の根の周りに鉄分が固まったもの。小学生のころ,近所で大きいのがたくさん採れました。ン十年ぶりの再会です。じつは産地によっては天然記念物になるほどの貴重なものですが,残念,その時採ったのは散逸していずこかへ。


 とにかく石の種類が豊富なのが久慈川の魅力。我がふるさとの川・那珂川もこの点ではかないません。久慈川では,気合と根性と経験があれば砂金を採ることもできますよ。これで上流の某町が下水道を整備してもう少し水質を良くしてくれれば言うことないのですが。

 

 

f:id:xjino:20200922201855j:plain
 参考出品,水郡線某駅の駅前ロータリーの噴水。ぜんぶメノウ。メノウ鉱山の関係者からの寄贈と聞きました。昔は河原でもこんなのがいくらでも拾えたたなあ。

 

 

f:id:xjino:20200922201911j:plain
 これは4年ほど前,ここより少し上流で拾ったメノウです。この時一緒だったひとは遠い土地に行ってしまい,この石が手元に残りました。色も質も決して上等ではないのですが,大切な思い出の品になっています。

 


 石は,それを拾ったときの場所,風景,風,そしてひとを写し取ります。掌に載せた瞬間に,あのときの空の青さ,大地の感触,風のにおい,感情が石から流れ込んできます。魔法で幻惑の世界にひきこまれたかのように,五感で感じたものすべてが脳内再生されていきます。それはまぎれもない,自分の人生の一瞬一瞬その刹那。写真よりも文章よりも,自分がそこにいたことを語り伝えてくれます。 …… 私が石拾いをやめられない理由の一つなんです。

 

 

     f:id:xjino:20200922202546j:plain
 ソバの花のかなたに奥久慈男体山。またいい一日を過ごすことができました。

 

 

 

 

 

追記

私の「石」記事の最初期のものです。この記事から事態がいろいろと化けることに。

その後の経緯はページ右上のカテゴリー「石の名前」でご確認くださいませ。

 

   f:id:xjino:20200813201038j:plain

あと、ここは決してキャンプ場ではありません。お考えの上、お楽しみください。

 

↓ ランキング、ご協力お願いいたします。

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ

うちの近所のトリカブト ~冷温帯の隅っこで

 

f:id:xjino:20180930130818j:plain

 

 日曜日は台風が来るそうです。ちょー大型台風だって。可哀そうに,各テレビ局の下っ端がカッパ着て暴風雨の下マイク持たされるのでしょう。さて私は,土曜のうちに確認しておきたいことがありました。


 行先は水戸の台地の,その北側斜面です。今は道路が走ってますが,かつてはとんでもないヤブでした。中学生くらいまでの私の遊び場です。


 以前トリカブトの記事を書いたのですが,そこでこの稀代の毒草が意外と身近にあると記しました。市の西部の丘陵地帯で確かに確認しています。が,実はある年の春にこの斜面でトリカブトの若芽を見つけていました。山菜のニリンソウそっくりでよく誤食事故を起こすやつです。市街地に隣接するこんな所で。いつか花を見てやろうと思っていました。

 

f:id:xjino:20180930130848j:plain
 こんな場所です。

 

f:id:xjino:20180930130859j:plain
 クズ,ヨモギ,カナムグラ,カラムシ,コウゾがわさわさと。歩道も歩けないほどにほったらかされた場所です。車の交通量は多いのですがヒトは見かけない,地方にはよくあるそんな道の傍ら。でもおかげでいろいろな植物が見られる,私の秘密の観察場所の一つです。


 で,車を停めたら目の前に

f:id:xjino:20180930130917j:plain
 あった。

 

f:id:xjino:20180930130941j:plain
 おいおいおい,いいのかそんなあっさりと。

 

    f:id:xjino:20180930131009j:plain
 烏帽子えぼしのような独特の被り物,誰がどう見てもトリカブト。この部分は正確には花びらではなくて「上萼片じょうがくへん」と言うそうです。トリカブト類は種分類が進んでいて,「トリカブト」という植物はないのだと以前に申し上げました。これはツクバトリカブトでありましょう。猛毒なのに美しい。


 せっかくなので他の植物も。

 

f:id:xjino:20180930131148j:plain
 クサギの実。秋の山野で最も美しいものの一つです。花が咲くとアゲハチョウが集まるので,捕虫網を持ってよく待ち伏せしてました。環境適性が幅広く,北海道から台湾まで分布しているそうな。台湾の人も,この実をああ美しいと見てるのかな。

 

f:id:xjino:20180930131205j:plain

f:id:xjino:20180930131213j:plain
 わーっと咲いているのはトネアザミ。関東のアザミ。

 

f:id:xjino:20180930131233j:plain
 オオオナモミ。いわゆる「引っ付き虫」の一つ。外来種で,在来のオナモミはどこかに行ってしまいました。


 少し専門的なお話,してもいいですか?


 茨城県は気候区分でいう「暖温帯(暖帯)」と「冷温帯(温帯)」の境目にあります。なんてこと言うとウチもウチもと,本州のかなりの県が名乗りを上げるそうな。そりゃ海岸があって山がありゃ両方見られるだろうけど,茨城県ではそれが低地で,植生変化として観察できます。特に水戸あたりでは台地の南斜面と北斜面ではっきりと木の種類が違います。図で説明しちゃいますね。

 

f:id:xjino:20180930131253p:plain
 水戸の旧市街地は東西に細長い台地に乗っていて,南側北側それぞれに長い距離で斜面が続きます。南側斜面は日照に恵まれ季節風から守られるので暖温帯の気候になり,それを代表する樹種であるスダジイが生育します。かの偕楽園に隣接する常磐神社は立派なスダジイの樹叢に囲まれてます。ところが台地の上に来るとスダジイがなくなって,もう少し寒地に対応したシラカシが神社の森を作ります。そして北側斜面。シラカシヤブツバキも散見される中,ホオノキコブシといった北方要素の木が現れます。樹種によって寒暖への耐性,あるいは好みが異なるので境界線がきっちり引かれるわけではありません。でも歩ける範囲で植生をまたげてしまう水戸の自然が,私は好きです。


 で,トリカブト類は九州にも分布してはいるけれど冷温帯要素の強い植物群です。それが家から直線距離で600メートルのところにあるんだよと,それが言いたいだけなのだ。お付き合いありがとうございます。


 暖温帯冷温帯という視点でこの日見たものをもう少し紹介させてください。ごく個人的見解なので転載しないでね。

 

f:id:xjino:20180930131833j:plain
 ヤブミョウガミョウガの花が咲いたとよく誤解されますが,ショウガ科のミョウガではなくツユクサ科のヤブミョウガ。本当に葉がそっくりです。これは暖温帯要素ですが,水戸では杉林の林床を一面に埋めていたりします。晩秋,美しい瑠璃色の実が生ります。

 

f:id:xjino:20180930131846j:plain
 ヤブツバキの実。暖温帯の木なのにかなり北にまで分布します。そういや「鉄腕DASH」で城島くんがこの中の種子を搾って油を採っていたなあ。DASHといえばあの番組で一番活躍していたメンバーが抜けて,どうなっちゃうんだろう。いい番組なのになあ。

 

f:id:xjino:20180930131904j:plain
 私のブログでおなじみ,アケビの実が落ちてました。冷温帯要素の強いミツバアケビです。水戸ではただのアケビより多い。甘い果肉はとうに食われ,残った皮にもアリが群れてました。この実をみんなが楽しみにしているんですね。

 

    f:id:xjino:20180930131925j:plain
 実は私,昆虫が専門で植物には疎かったのですが,最近はおやなんだこの葉は,なんていっぱしの植物屋さんみたいなことを言ってみたり。で,なんだこの葉はと見てみたらツノハシバミでした。外国文学によく出てくる「ヘ-ゼル」がハシバミ,これはその同類です。この中にドングリがあって食べられるのですが小さくて,ハシバミのような食いではありません。冷温帯要素の木,だと思います。

 

f:id:xjino:20180930132002j:plain
 ヤマブキ。どうなんでしょうこれは。冷温帯のイメージですが,九州では低地にありますか?この黄金色の花が日本人に愛されています。ちなみに思いっきり季節外れに咲いてました。もともと狂い咲きの多い花です。

 

f:id:xjino:20180930132017j:plain
 水戸の台地は湧水が豊富で,市が何年か前にこんな風に整備してくれました。その後ほったらかしなのはご愛敬。その時の周辺整備のおかげで見られるようになった植物がたくさんあります。

 

f:id:xjino:20180930132037j:plain
 さて帰ろうかと車を発進させたのですが,視界の端に一瞬。今日見ていない場所に何かが。思わず急ブレーキ。こんなことしてるから,わしそのうち絶対事故を起こすと思う。

 

f:id:xjino:20180930132053j:plain

f:id:xjino:20180930132100j:plain
 コブシの実でした。コブシという名はこの実の形から来ています。「北国の春」にも歌われた,春を告げる花として北国でことのほか愛される木。私も大好きです。あの白い花を見て,私も春の準備を始めます。

 

f:id:xjino:20180930132127j:plain
 水戸のトリカブト。山にあるものと比べると花色が薄めに見えます。でも十分に美しい。花粉ですら猛毒の植物がこんなに美しい花を咲かせるというこの逆説。自然とは奥深いものです。

 

    f:id:xjino:20180930132149j:plain
 草の露に濡れていたその1時間後,水戸内原イオン。我ながらよく動くなあ。

 

 

↓ 以前の記事

トリカブト,そは魔毒の王 - ジノ。

 

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ
にほんブログ村

アケビの実の開くころ  ~庭のミツバアケビとハマナス。

 

f:id:xjino:20180930134143j:plain

 ラティスに這わせたミツバアケビが開き始めました。

 

f:id:xjino:20180929091843j:plain
 春にご報告したように,大喜びで繁茂してたくさん花を咲かせました。ただ少し茂りすぎて悪影響が出たので,この冬に大剪定する予定です。

 

f:id:xjino:20180929091855j:plain
 このめしべが

 

f:id:xjino:20180929091910j:plain
 こうなって

 

f:id:xjino:20180929091922j:plain
 夏の葉陰で少しずつ大きくなり

 

f:id:xjino:20180929091947j:plain
 どかん。

 

f:id:xjino:20180929092002j:plain
 たわわ。

 

f:id:xjino:20180929092014j:plain
 たわわわ。今年は葉が混みすぎた裏のラティスのより,こぼれダネから自力で生えてグリーンカーテンに取り立てられた株の方が実りが良かった。山から取ってきた雄花の花粉で結実したものですが,雑種は強いということかもしれません。

 

f:id:xjino:20180929092041j:plain
 開いたのを放置すると虫が入り込むので,早めに収穫します。最近は家人も食べてくれなくて,料理が得意な奥さんのいる知人にあげてます。この分厚い皮もてんぷらやキンピラにするそうな。

 

f:id:xjino:20180929092059j:plain
 こちらはハマナス。茂りすぎるのでずいぶん伐ったのですが,もちろんめげません。

 

f:id:xjino:20180929092111j:plain
 それでも酷暑の間は葉が茂るばかりであまり開花しませんでした。海岸植物のこれにすら,この夏はキツかったらしい。涼しくなって花数が増えてます。美人過ぎて,どう撮っても絵になってしまうのが難と言えば難だなあ。

 

f:id:xjino:20180929092128j:plain
 初夏に咲いた分が「浜梨」の実に。

 

f:id:xjino:20180929092147j:plain
 庭ではシュウメイギクもいい感じ。

 

f:id:xjino:20180929092201j:plain
 ご近所の庭からはキンモクセイの香りが漂ってきます。郊外ではヒガンバナが咲いて散りました。これは被写体にすると意外に難しい花で,月並みな写真しか撮れません。いつか会心の写真とともに,その不思議なそして見事な生態と戦略をお話しできればと思ってます。


 この数週間で気温が十℃下がりました。カラダが付いていきません。あっという間の,秋です。

 

 

 

関連記事,よろしければ。

ミツバアケビ咲いて - ジノ。

ハマナス退治 - ジノ。

 

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ
にほんブログ村