ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

宵闇のネムノキの森を抜けて

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 数年間,水戸から日立に通勤しました。


 二つの街は距離30キロ,国道6号1本でつながっているのですが……使えません。この道沿いには日立製作所関連の事業所が並び,特に日立市内は海と山に囲まれた幅2キロの市街地に道路が集中します。毎朝絶望的大渋滞。


 なので,時間的に余裕の無いときは常磐高速道,ふつうは水戸から国道349号を北上し,阿武隈山地を横断する山越えルートで通いました。


 これが実は楽しかった。毎日毎日,季節の移り変わりが手に取るようにわかるのです。ヘアピン続きの峠攻めももちろん楽しいのですが,春先ならコブシやヤマザクラ,あれあんなところにフサザクラが。夏なら緑陰に蝉時雨。秋には紅葉。そして帰り道は,不思議にもこの時の数年間ずっと夕暮れの空に金星があり続けました。宵の明星が指し示す西を目指してアクセルを踏むのは独特の高揚感がありました。片道1時間15分の車通勤が少しもつらくなかった。


 この道筋で見たことを掘り返せば色々とブログネタになるのですが,今回はその一つを。

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 ネムノキ(合歓木)は芽吹きの遅い木で,他の木が枝葉を広げた後も冬枯れの姿をさらし続けます。じらすタイプです。初夏の夕暮れ,おしべばかりの赤いポンポンのような花を咲かせます。もっとも,赤いのはおしべの先端部だけで,下半分はほの白く,宵闇の中ではこの白ばかりが目立ちます。峠越えの枝道の一つにネムノキが続く道があって,まるで葉の上でたくさんの白い「何か」が走り去る私を見送っているようでした。あ,ちょっと怖い。

 

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 たまたま接写機材を持っていた日があって,そんなネムノキの花を撮ってみたことがあります。撮ったら意外に面白かったので。

 

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 安物の機材でも結構遊べますね。

 

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 これでマメ科なんだよなあ。エンドウの花とは似ても似つかないのに,昔の分類学者はちゃんと見破っているんだよなあ。

 

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 全部おしべに見えますが,ところどころ先端が細くて黄色くないのがあってそれがめしべです。

 

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 不思議な花ですね。実は花弁もあるんだけど,完全に埋もれてます。


 本当に接写に取り組むならオリンパスのOMシリーズで機材を揃えたいところですが,なにせ高価です。買えない値段でもないところがまた悩ましい。定年後の楽しみにでもしようかと。そういえば「タモリ倶楽部」の鉄道回でタモリが取り出した私物カメラがOM-Dだった。さっすが~タモリさん!なんて「ブラタモリ」をつまんなくしているセリフをかましたり。

 

 

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