品プリにて朝6時半起床。昨夜買っておいた朝食をそそくさと食べ,身支度を整えてチェックアウト。東京駅で宿泊用の荷物をロッカーに預け,8時の中央線快速に乗り込みます。
今日の目的地は旧五日市町,現在のあきる野市。ドコだそれ,と言っては失礼だけど,聞いたことはあってもさっぱり空間位置が浮かびません。
1年くらい前に見つけた本,浦島茂世さんの「東京のちいさな美術館めぐり」,その表紙に選ばれた美術館に目を奪われました。深沢小さな美術館とやら。行ってみたい! 本気で思いました。東京世界の果てにあろうが,武蔵五日市がどこだか知らなかろうが,いつか行かねばと思っていたのです。
立川で人生初の青梅線に乗り換えて,さらに拝島というところでもちろん初の五日市線にまた乗り換えます。
東京都の畑だ。ここまで来れば,これくらいの環境ならば私でも呼吸して生活できそうです。
電車のドアの開閉ボタン。よもや東京でこれを見ることになろうとは。
駅に着きました。なんか改札へのエスカレーターが混み合っていると思ったらこれ。ここが東京である証し,東京ルール。異常な風景ですね,片側しか乗っていないエスカレーター。おかげで輸送力が半分に。今はJRも推奨していないはずですが。
……それに申し訳ないけど,右側を急ぐ人を見ると,とてもそんな必要がある顔には見えなかったりする。何者ですか,あなたは。
ともあれ着いた。接続が悪かったせいもあって,東京駅から2時間近くかかりました。東京都だよねえここ。ちなみに特急を使えば品川から水戸まで1時間半です。
駅前は,何だかひなびた温泉地みたいです。子供連れや大学生のグループがわんさか。
……なのは南口。美術館は北口から歩くことになります。片道3.1キロ。行きは登り。
さっそく出たあ。美術館への道案内をしてくれるZiZi(ズィーズィー)という妖精さんだそうです。
東京都です,念のため。
ランクルが朽ちていく。
風は涼やか,日差しは暑いけど陽が翳ると肌寒くなります。5月のこういう時は午後に雷雨が来るので,朝から行動して正解でした。
それにしてもZiZiたち,まめに現れます。
ハンショウヅルが咲いてました。茨城ではあまり見かけないクレマチスの仲間です。
カーブミラーで自撮り。楽しんでるなあ,わし。
良くお祀りされた神社です。ここで道のりの半分。
おいおい。茨城にはいないぞ。
ZiZiの数が増えてきて……
到着です。ゆっくり写真を撮りながら来たので1時間かかりました。
門番のZiZi。
庭がいきなりこれ。池じゃない,水槽と呼ぶべきでしょう。
チョウザメ! チョウザメが! ……庭でチョウザメ飼ってる家,見たことある?
開館中。ここは造形作家友永詔三(ともながあきみつ)さんの自宅に隣接した,建物からして作家手作りの美術館です。庭も,さっきの水槽も。
展示室はわずか三室。館内は柔らかな光に包まれています。
いきなりプリンプリン。昭和50年代に人気を博した,NHK人形劇「プリンプリン物語」の主人公です。去年BSで再放送してました。
「プリンプリン物語」のキャラクターたち。すべて友永先生の作品です。見ていた当時はコミカルな操演と声優さんたちの熱演,そしてテレビの解像度が悪かったので気づきませんでしたが,みな強烈なお顔をしていますね。こんな深い陰影のある人形だったんだ。
怪人ランカー。この内面までをも表した醜悪な容姿で15歳のプリンプリンをひたすら恋い慕う,その哀しさが今なら理解できます。
ルチ将軍! ルチ将軍だ! まさかこんな距離で見られるとは!
30年も前の作品ばかり取り上げても若い人には申し訳ない。今の友永先生の作品の主役は,このなまめかしい少女たちです。
本の表紙に使われたドン・キホーテ。
喫茶室でコーヒーをいただきながら緑の風に吹かれていると,時の流れから切り離されたみたいで長居してしまいました。また来ますね。
帰り道は急ぎ足40分で駅へ。接続のいい列車に乗れて,帰りは1時間10分程で東京駅に戻れました。
帰りの電車で向かいにいた男の子の持ち物。イモリは脱走の名人だから気を付けてね。
私の不在を衝いて,水戸では朝と夕方の2回,雷雨が来たそうです。何で私を避けるだろう,雨も好きなのに。高速バスが水戸に入った時の,名残りの虹。
我ながら,いい休日の使い方をしました。