ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

青麻山(茨城県の)

 

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 青麻山あおそやま。ネットで検索すると宮城県にあるお山がヒットします。ハイキングで人気の山らしい。でも今日向かうのは茨城県常陸大宮市に在する方のお山です。標高395メートル。


 あおそ,というのはイラクサ科のカラムシという植物の別名。繊維を取る目的で明治以前は盛んに栽培されたそうです。その青麻がいっぱい生えていた山なのでしょうか。県北部の,奥深いところに鎮座しています。国土地理院の地図には頂上に神社が示されてます。


 御岩神社鶏足山鍋足山奥久慈男体山…… 好きだったフィールド,深呼吸するため,心を養うためにあった領域に,次々と人が押し寄せるようになりました。集団で行動したがるタイプの方々とはどうも相容れません。神気ただよい樹声ささやく,せめて単独行の人に出会うだけの山はないものか。もちろん生物が多様であることもポイントです。


 そんな経緯で古い生物調査の報告書を見ていたら,青麻山の名前がありました。どこそれ知らない。そうか自然観察のできる山かと目星をつけました。行かねば。


 水戸を出て1時間。まずは地形図で二つあるうちの南側の登山路を目指します。


 上の方まで舗装された車道のようですが,用心して登り口に駐車して行動開始。


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 クサイチゴやらミツバウツギやらサワガニやら。


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 さあところが。舗装が切れた途端に道がヤブに消えました。え?え?だって地形図には。…… 国土地理院のド嘘つきが。


 登っていけばいつかは山頂に着くのだろうし,ヤブ漕ぎ大好きって人も世の中にはいるけれど,フルパワーが必要です。今日はそんな気分じゃありません。そもそも何度でも安心して来られる場所ってのが肝要なんです。


 なんて思いながらヤブをかき分けていたら,なんとエンレイソウ

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 このあたりのこの標高では珍しいものです。ここで見たというだけで収穫。これを潮に転進します。この道はない。最近の国土地理院は現地踏査などしないのでしょうか,山道で往々にしてこういうことがあります。


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 で,西側の登山口に回ったらこれ。今はもっぱらこちらがルートのようです。


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 地形図では「徒歩道」,つまり歩行者用のホントの登山道のはずなのですが。国土地理院,最近は航空写真のトレースすらやっていないようです。


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 とにかくスギの造林地で,下草も刈られて,よく管理されています。ということは生物相は単調です。残念ながら生物観察には向いてないでしょう。


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 丁寧で親切なご案内、痛み入ります。私の車はとりあえず四駆なのですが乗用車タイプだし,ここでも用心して徒歩で行くことにします。山では用心深いに越したことはない。そのほうが観察できるし。


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 ミミガタテンナンショウ。今年はよく見かけました。


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 かなりの急坂で,油断すると息を切らします。


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 着いた。心づくしのご案内,ありがとうございます。


f:id:xjino:20190525090726j:plain 青麻三光神社

 

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 月,日,星の三光のシンボルは,東北の山でも見かけました。…… この微妙な手作り感がいいですね。小さな神社ですがよくお祀りされてます。


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 社殿の裏に回ると


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 伐採地。南東方向の限られた眺望より,伐採後の山肌に目が行きます。本当に植林地帯なんだ。


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 斜面はものすごく急傾斜。あのままヤブ漕ぎしていたらこんなところを登る羽目になったかと思うとぞっとします。

 

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 境内に戻ってフモトスミレチゴユリ。まあともかく,思い描いていた私の自然観察地とはだいぶ違いました。いえこの神社やお山そのものにケチをつけるわけではありません。ただ偏屈で口うるさい生物屋の眼には留まらなかったと。


日本百名山」の深田久弥は,百の山を決めるのにどれだけの山を登ったのだろう。「百名山」刊行後も山を歩き続け,そして山で生涯を終えました。そんな,求道に捧げたような人生をうらやましく思います。…… 今の世には、ただ他人の後を辿るだけ,ネットで人気の何かを探して、真似をしただけなのに〇〇制覇なんて言ってみたり、そんな人が溢れています。深田久弥はかような行為にはなんの価値も感じなかったろうし,私も興味はありません。目指すのは、限られた人生のうちに、自分にしかたどりつけない場所に立つこと。

 

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 下界は田植えの真っ最中,ヤマフジショカツサイが花盛りの頃の話です。

 

 

 

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